トルテのピンクケーキやまだ うたこ

……本当はもう少しはっきりした色合いの、あたたかみのある、可愛らしいピンク、なのに。
今回の絵本ではこの「ピンク」という色そのものもやまださんのこだわりたかった部分だったと思うので、正直これはないよあまぞん、と思ってしまった。本当はこんな風にぼんやりしてないですからー(って誰に言ってるんだろう)。
可愛いオハナシです。他愛なくて(これは褒めてる。私はやれ癒しがどう、とかそういうモノを全面に押し出すタイプのモノがニガテで、単純に楽しかったり可愛かったり面白かったりする「絵本」が好きなので)。でも、ちょっとツラいというか、子供ほど柔軟性がないつーか。むきぃぃぃぃぃぃっっっっ!! となってしまったトコロがあって(涙)。
トルテはお店を開いてるけれど、お出し出来るのはお茶とゼリィだけ。おいしいケエキも出したいけれど、作り方がわからない(1)。御客で友達でもあるみんなに訊いてみるけれど誰も知らない(2)。友達のひとりが「お菓子のいい香りのするお店があるよ」と教えてくれて、トルテはさっそく行ってみることに。
行ってみると窓から見えるケエキは見るからに美味しそう。可愛い女の子が出てきて、部屋に招いてお茶とお菓子を御馳走してくれる。かくかくしかじか、自分のことを話し、「ケエキを貸して欲しい、みんなに見せたい」と頼むと女の子は快諾。
トルテが持ち帰り、皆を呼びに行っている間に友人たちが次々やってきて、あまりに美味しそうでつまみ食い……のつもりがミゴト完食!(3)帰宅したトルテが驚いて事情を話すと皆平謝り。さあ、借りただけ、のケエキを返さなくてはいけないけれど、どうするトルテと(不)愉快な仲間たち!!
……腹立って腹立ってもう(笑)。(1)の、ケエキの作り方も知らず、供せるのはゼリィ(とお茶)だけ、って。腐った大人視点かつ汚れた資本主義経済の中で生きていると「そんななまっちろい考えで店なんぞ開いとったんか!」と何だかムカッ。
(2)本で調べたり出来るだろうに先ず他人に訊く。そこでまたムカッ。ヲトナの世界では「自分で出来ることを安易にヒトに頼むべからず」という考えがあると思っているだけにこれは(私には)キツイ。むう。実際お店やりたい、と思うくらいの気持ちがあるのに努力しよう、とゆーキモチがないのかキミは。しかも、客に訊くのかい……(まあ客には「どんなケエキ食べたい?」というのを知りたいこともあってあれこれ尋ねるんだけど)。
(3)の、トルテがトルテならそのオトモダチもオトモダチで、食っていいかどうかわからないものを思いっきり食うし!! 何で!? 何故食う!? 友人が作ったもの(と思われるもの)を断りもなく何故食うのだ! しかも留守中に!! いくら美味しそうだから、って……あんまりだろ、それ。おまけに、後から判ったことだけれど、実はそのケエキは貸し主の女の子にとってとても大事なケエキだったりするのだ(どう「大事」なのかはおはなしで確かめてね)。
それらすべてが女の子との新たな友情やオイシイお菓子の誕生に結びついてゆく訳だけれど、……あんまりだよ、それじゃ! と思ってしまって、楽しむどころか終始不機嫌になる自分が怖い(ははは…)。
前に読んだくまさん経営のパン屋の話(朝早く起きて仕込みから焼き上げ、販売、と最後まで全部くまさんひとりで黙々と、かつサアヴィス精神を忘れずに働く、という職人気質なのにそれを偉ぶったりしない素敵なくまさん。ヨメに行きたいと願うなんばーわんのヒト…くま…いややっぱヒト……?)を憶えていて大好きなだけに、何のポリシィもなく「好きだからぁ〜!」「だけ」でお店やっちゃって、どうにかしたいと他力本願で、……と、
アンタ、「愛の貧乏脱出大作戦」に出てきたダメ店主(※)ですか。くらいがっかり、してしまったのだった。同じやまださんの絵本「ぶたのチェリーのおはなし」
コレ↓ですね。
ぶたのチェリーのおはなし
やまだ うたこ

は素直に大好きだったけど、コレはちょっと、……何だかなあ、だった。多分、私が子供だったらもっと素直に楽しむんだろうけど。美味しそうなケエキ見たらついついつまみ食いしたくなっちゃうよね、とか、一緒にワクワク……ああやっぱ無理かな。「サザエさん」でつまみ食いしたはいいけど揚げ立ての天麩羅なもんだから唇火傷しちゃうヤツ読んで「悪いことは出来ないよねえ」と嘲笑うタイプだし↓(だってねえ、つくったひとの苦労とか手間考えたら、何かもっと申し訳なく思えよー、とか思っちゃって。いや、1コ2コの可愛いレヴェルはアリなんだけど。笑えるんだけど。私も「えへへー、つまみ食いしていいー?」と何処がつまみ食いやねん、な量をひょいぱく〈←一口で大量〉っとやらかすけど。←猛省しろ、お前)。
ちゃんとオハナシの中で、つい食べちゃったみんなもちゃーんと反省はします。反省して、お詫びもします。だから、いいんだけどね。でもなあ。女の子がココロを込めてつくったもの、は、もう戻って来ないんだよなあ。
ああ、何だか胸にもやもやとわだかまるものがあるのよー!!何度も読み返す、ことはないかもしれない……。絵は、とてもとても可愛らしいです。ピンクで60年代テイスト、を意識なさったというだけあって、何とも言えない味わいがあるし。でもでもでもでも〜〜(涙)。
今後、トルテちゃんには自力で新たなケエキを作り出す、ということをして欲しいものだなあ、と汚れた資本主義にまみれた私は思うのでした。
※かつてテレビ東京系列で放映された番組。みのもんた司会。業績不振で、理由も言わずもがな、なお店の店主が応募し、その店を建て直すために番組側が協力して、その道のえきすぱあとな人々の元で短期間とは言え最低限のことが出来るようになるまで修行させてもらい、合格出来れば新装開店する、というもの。自分のこれまでの努力の足りなさや考えの至らなさを改め、「客に喜んでもらうこと」こそがいちばん大切、と業績を上げ年収を上げる店主が居る一方、折角方々に協力してもらい修行もさせて頂いたクセに何だかんだとナンクセつけてテメエの手抜きや他力本願を棚に上げて何もしなくなってしまうダメ店主、というのが結構居た。時々番組サイドが抜き打ちでみのを引き連れ店を訪れては説教をたれるSPが放映されている(無論、いつでも客でメチャ混み♪ なお店もある訳で、そういう店はさらなる激励をもらうのだが。ちなみに、視聴者からのタレコミがあって出向くこともあった)。