日常の豊饒なるを。
平松洋子の台所 (新潮文庫 ひ 24-2)
平松 洋子
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自分でも意外なことに、平松さんの本はこれが初めて、第1冊目となる。如何にも私好みな視点に内容だというのに、……何という迂闊!

平松さんの台所周辺のあれこれを、軽妙な文章で綴ったエッセイ集。……こういうのは、「新潮文庫の100冊」なんかには入らないもんかね。肩の力の抜けた、でも年月と経験に裏打ちされた、見る目あるひとのエッセイというのは、男女を問わず面白いのではないかなあと思うのだけれど。そりゃあ白洲正子さん程のインパクトはないかもしれないけれどね。

まず文章がいい。ハデな訳ではないし、落ち着いているのだけれど、それでいて何処か独特のリズムがあって、読んでいて心地よく妙にワクワクさせてくれる。

次に内容がいい。海外での出来事を綴ってはいても、彼女の日常に地続きのことばかりなので、殊更特別なカンジが漂わず、それでいて瑣事と切り捨てるには惜しい内容ばかりになっている。
地に足のついた生活ぶりが伺えて、いつもいつも浮遊感を感じてしまう日常しか送れない私にはそれだけで羨ましい。
誰に指図されるでも教授されるでもなく、暮らす内に身につけた手順の良さや、知った楽しさやいいと思える味わい、それを日々楽しんでいるであろう著者の姿が目に浮かぶ。
かと言って、古ぼけ、色褪せた写真のようには見えない。何とも言えない輝きのようなものを感じさせてくれる。日々その愛するものや事柄が褪せることなく共にあり、これからもまた続いていくからだろうか。

日常にある豊饒さをこんなにもわくわくさせてくれる本に久々に出会った。少しずつ、惜しむようにして読むだろう。
【2008/06/23 23:26 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(0) | トラックバック(0)
思わずにんまりしちゃう瞬間。
○○の瞬間
たかはし みき
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Web上で連載中から読んでいたものがとうとう一冊にまとまって、しかも描き下ろしもアリ、ということでゴーカな一冊となりますたVv

誰もが「あーあーあるあるそういうトキ!」という色んな「瞬間」についてを、たかはしさんの経験を元にイラストと手書き文章で綴られたエッセイ本。
イラストが丁寧に描き込まれているので、それを隅々まで見るだけでも楽しいのだけれど、やはり内容もじっくり読むとより楽しい。

「ハートをぶちぬかれる瞬間」では飼い犬の可愛い仕草や態度にどれほどヤラレるものかがわかる。飼ってなくともヤアレそうだ。

「血の気がサーッと引く瞬間」では就活時代、面接に思い切り遅刻したエピソオドを(ちなみにその会社こそ後に彼女が入社する某キャラグッズの会社なのであった)。

「小躍りしたくなる瞬間」では思いがけず欲しかったものなどを入手出来たヨロコビを。

「『あ〜いいねぇ』と声を出しちゃう瞬間」は二度寝のユル〜い心地よさ。

「気まず〜い瞬間」は、他人が叱られているのを見てしまった時。ああ確かにホントに。いたたまれない気分になるし、場の雰囲気が凍る。

「むしょうに○○が食べたくなる瞬間」、彼女の場合は健康を心懸けている時のジャンク・フードだそうな(笑)。わかるなー。私は時々無性にあんこかあんこモノが食いたくなって困る。

「大人気分を味わう瞬間」のマンガ全巻一気買いは最早お約束であろう。……私の場合は、そこに「食玩BOX買い」なんかも含まれる。アイタタタタタタ↓

「ちいさなヨロコビを感じる瞬間」はゾロ目の数字が出た時。……あった。あったよ、つい最近もコンビニに買い物した時888円だとかになってひとり「えへへー」となってたよ!

「ものすごく後悔する瞬間」は目当てのものが売り切れていた時だよねそうだよねまったくだよね! ……ホントに、取り返しつかないんだもの。それでいて後になってからフツウに売られていてチカラが抜けるのもお約束さ!(泣笑)

「ふとさみしくなる瞬間」……親が小さく見えた時。うむ。これは、社会人になって、自分もそれなりにアラナミに揉まれたりしてから、必ず訪れる瞬間だと思う。ホントに。何とも言えずさみしい気持になる。ホントに。

「子供の頃を思い出す瞬間」は児童文具が売られているのを見た時も、だそうで。なるほど。私は何でもない時ふ、といきなり思い出すからなあ。きっかけが自分でわからん↓

「睡魔におそわれる瞬間」は電車・バスに揺られている時、丸かぶりだっ。私はあの振動がもっとも眠りを引き起こされる気がしてならん。覿面眠くなること多し。

「聞こえないフリをする瞬間」……うん、都合悪いこと言われた時するよね……。

――とまあ、13の「瞬間」について4〜5エピソオド描かれている。上記はほんの一部を抜き出したもの。より「あるあるあるある〜〜」気分を楽しみたい方は是非御一読を。

おまけのイラストエッセイは「こめつぶ絵日記」、「本ができるまで」、「こんな仕事場・こんな仕事道具」の3篇! これもなかなかの読み応えで楽しい楽しいVv

たかはしみきさんファンならずとも楽しめる要素は満点。相変わらず丁寧に丁寧に描き込まれていて、思わずにんまりしてしまう瞬間、をアナタに提供してくれるハズ、です。
【2008/05/29 19:29 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(0) | トラックバック(0)
生活を一から創ろう。
ひっこしました
杉浦 さやか
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待ちかねていた新刊がやっと出た! と思ったら、おお、新しい住まいを得るまでのミニ・クロニクルではないですか!

これまでと異なる趣を持ちながらもやはり杉浦さやかちゃんならではなアレコレが目白押し。読み応えたっぷり、絵も文章も情報も充実しまくりでお買い得の一冊。

それまで暮らしていたアパアトを出て引っ越すことを決意した彼女は、まずは物件を探す所から始め、引越業者選定、段取りまでを具に記してゆく(何しろ、引っ越すことを決めてからは引越に関わる全てを記録するためのノオトを作成していたくらいである。流石の記録魔!!)。
それがまた苦楽に満ちた充実の時、なのだ。ふわふわとした現実逃れなどせず、相場を調べては予算や希望を明らかにして引越業者を吟味してゆく。てきぱきとしていて気持いい。

不動産屋にとって、もっとも困る「客」は具体的な希望を持たぬヒトであるらしい。それ言ったら彼女は最高の「客」なのだ。希望が明確で、具体性があるのだ。

引越に至るまで、引越当日のルポも楽しい。これから引っ越そうかな、なんて考えている女子(男子も入れてやってもいいよ。←偉そうだな)には最適の本である。
それでいて、読んで楽しいものに仕上がっているからスバラシイのだ。

手抜きのない彼女らしい筆致の絵と共に綴られる、「楽しい苦労」の数々。写真も豊富で、彼女の「新居」にお邪魔させてもらったような気分になれるのもサイコーだVv 引っ越した後の部屋のレイアウトがオトナカワイくてうっとり。
その後も庭造り、DIYでの大きな本棚づくり(羨ましい!)の様子なんかも記されてゆく。

選びに選んだ部屋に、考えに考えたレイアウトや厳選した家具たち。お気に入りで満たされた暮らしの空間。おおこれぞ女子のアコガレ!

でもね。ひとり暮らしにはトラブルだってあるのさ……という訳で、新居に移ってから彼女に降りかかった「厄災」についても語られている。……女性なら共感するというか、「あたしにそんなこと起きたらどーするよ!?」と思わずパニくりたくなる素敵(……)大事件が起きちゃったりしている。

げに楽しきは日々の生活。

家づくり、生活をつくり上げ謳歌することに興味のある方にはオススメです。ああ、ここまで徹底して自分の「好き」をぶち込んで自分の手でつくれたら、シアワセだと思うわー。
【2008/04/02 00:28 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(2) | トラックバック(0)
ドイツ好きは是非。
VOYAGE! 3―世界のユニークなモノ、たのしいコト探して、いつでも旅の途中 (3)
Mrs.f
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オンライン書店ビーケーワン:VOYAGE! 3
第3弾登場。前回から結構時間が経過してる。通販会社「フェリシモ」で活躍する雑貨バイヤア「Mrs.f」。かつてイギリスに暮らすものの現在はドイツ在住。基本的にはわーるどわいどなのだけれど、今回のコレに限って言えばドイツ度高し。という訳で、雑貨好きにも楽しいのだけれど、この本はドイツ好きには嬉しい本、かもしれない。

「フェリシモ」のカタログで連載した記事や、彼女が企画した商品に付けられるペエパア等が直接掲載されることはない、らしい。基本この本のために書いたと思われる(多分、だけど)。ペエパアに記載されたものを全部読んでみたいし、連載中のものもまとめて読みたいんだけど、それらは今後も本にはならないのだろうか。

今回は、バイヤアとして、というよりも、ひとりの観光者、あるいはその土地で生活する者としての視点で色んなことに触れられている。暮らす、ということ。生活する、ということ。その上で関わってくるあれこれを色んなカタチで。
食べ物と食生活、雑貨と暮らしぶり、その土地に「暮らす」ことで見えてくるもの。海外で「暮ら」したことの無い私にはどれも新鮮で楽しい。生活しているからこそ生まれる「不満」も吐露されるのだが、不快感は湧かない(不快感どころか「く、苦労してるんですね…」と同情してしまう。日本の家庭電化製品がコロコロ新しいものを生み出していき、消費者もそれを許容している・せざるを得ない状況に比べて、欧米では長く同じ形・性能を保ったまま生産・使用されていることがさほど珍しくないという違い。しかし、……ある程度は変化した方がいいんだね、と思わされるような事例がちらほらと。日本のコンパクトさは世界の何処の何をも凌駕する素晴らしさですよ)。

雑貨に関しては、これまでよりは写真のそれも文章のそれも、ちょっと紹介点数減っちゃったかな、という気はする。いくら多彩と言っても、これまで何年も世界中駆け回ってあれこれハントしてきた方だから、無理も無いか。
まさに「旅」そのものの楽しさや醍醐味について語られてる向きが強い。当たりかも、と思いつつ入ったお店の料理の美味しさや町並みの風情を感じさせる。

前回以上に多くなったのはお子さんの話題。子供が居ると居ないとでは暮らしぶりがまったく違うだろうから無理もない。……でも、子供についての話題やモノに興味のないひとにはやや苦痛かもしれない(正直ちょっとおなかいっぱいになりました……。子供関係の雑貨・玩具・絵本はどんと来いなんですが)。

ドイツは都市や町ごとにピックアップして紹介。ベタな観光名所云々ではないドイツが垣間見ることが出来て楽しい。
ほかにも旅行で行った東欧などちょこちょこと紹介されているので旅のつまみ食いが出来る。
相変わらずヴィジュアルは充実しているし楽しい紙面。第4弾もあり得そうなので今から楽しみにしておこう♪
【2007/02/24 22:17 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(0) | トラックバック(0)
やるならやらねば(何をだ)。
ラブシーンの掟
石川 三千花
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このひとの書くものを、手放しで褒めるのもアタマから貶すのも、何ともムズカシイものがある。いや、面白いのだ。大笑いした。しかし、「何故そこまで言う!?」という時が往々にしてあって、辟易させられることも確かである。深く考えずに笑い飛ばして読むのがベストだろうけどさ。つい「こええよ!」と思っちゃう時があって。悪意に満ちてるのか「単なる本音よ♪」なのか判らないのがこわいんだよー。

以前、彼女の著作を読んでいた時に、「t○f」について語っていたものがあったのだが、彼等を評して曰く「ここまで綺麗どころではなくキタナどころが揃ってるのも珍しい」(要約)。そ、そこまで言うか。彼女にとって彼等は何処を取っても何をやってもその外見から何から「キタナ」く見えるらしい。


表紙からトバしまくり(笑)。もうこのカヴァの絵だけで4〜5分は笑える。絵にはツッコミが添えてあるのだが、そのツッコミで笑えるのだ。故に、本文もかなり笑い所満載だ。そこだけに集中して観てるので、フツウに観ていたら流してるトコロを微に入り細に入り解説してはツッコミ。

思えば、何であんなに映画の中のベッド・シーンてのは「如何にもフツー」そうなのが少ないのでしょー。イヨーにロマンティックだったりイヨーにあう゛ぁんぎゃるどだったりイヨーに凝ってたりするのですが。ああいうのを観る度に「ああ、アメリカ人てホントは保守的なひとが多い」という説(?)を実感する。そりゃあまあ「如何にもフツー」じゃつまんないのかもしれないけど。
そんなこともあってか、著者はこれでもかこれでもかと銀幕の中でなさっているヒトたちを観察してはツッコむのだ。時に、肌を重ねることもないまま終わる作品に哀切といとおしさをも見出しつつ。

スカアトの中にアタマ突っ込んじゃうおっちゃんにはやや引いた。水中でしちゃうヤツらは海洋性哺乳類かよと。実生活でも夫婦だったカップルの本気モオド炸裂。……そうか、ホントにイロイロなんだな。

そういえば「薔薇の名前」での野趣溢れる(と言っていいのか?)シーンが妙に印象深かったなあ。
薔薇の名前 特別版
ショーン・コネリー ウンベルト・エーコ ジャン=ジャック・アノー
B000FQW0QQ

一生童貞を貫く筈の年若い修行中の修道士が名も知らぬ女性に詰め寄られ、押し切られるように関係を持ってしまうシーンがあるのだが、とてもワイルドで即物的で、それだけになまめかしく生々しかった。それでいて、作品のラストに至る辺りで思い出すとせつなくなる。これ、TV放映版だと思い切り無粋にボカシが入るのだけれど、DVDでもそうなのだろうか? 逆に卑猥というか下品な感じがしたのだけれど(確かに、かなりきわどい描写でそこだけ切り取ればぽるののように見えたかもしれない)。折角重厚な映像づくりしてたのに、台無しにされた気分になった。……何故かこの本では触れられてなかったなあ。如何にも取り上げ甲斐がありそうだったんだが。

軽く流すように読めるので、映画好きで暇な時に読むにはちょうどいいかと。
【2007/01/19 23:10 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(0) | トラックバック(0)
ひだひだを見つめてみる。
心ひだひだ
室井 滋
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心理テスト、というものを毛嫌いされる向きもあろうが、私は大好きだ。大抵は結果を聞いた後ゲラゲラ笑える所が特に。不思議と皆「オボエが無くもないぜ」という展開になるのは何故なんだろう(もっとも、「え、そうかなあ?」と思うこともしばしばなのだが)。それにしても、この本、正月2日に呼んでたんだよなあ。何やってんだろう、新年早々(まったくだ)。

以前、台風のせいでいきなり停電に見舞われたことがあって、同じアパアト内の住人がある部屋に集まって「することないねえ」「何も出来ないよねえ」と酒盛り開始(何でだ・笑。どういう訳か皆酒を所有していた。女子大生ばっかりだったんだが、……飲んべえばっかだったのか?)。電化製品が一切使えない中、ペン・ライトで照らしてまで本を読み上げて心理テストをやって馬鹿笑いした思い出がある。流行ってたんだよなあ。

室井さんの本は文庫化されると必ず買うのだけれど、よもや心理テスト付の著作まであったとは知らなかった。
心理テスト→そのテストに纏わるネタでの室井さんのエッセイ(及び室井さんの回答)→テストの結果発表、となっており、遊び感覚で答えて後、結果を見るもよし、テストはうっちゃって室井さんのエッセイを楽しむもよし、読者の好みで読み進めることが出来る訳だが、私は勿論テストを受け(?)つつ読み進めたクチであった。

「ああ、そう言われると、まあ、ね」というのもあれば「お? それは考えもしなかったのう」というものもあってそれぞれ。核心突かれたものもあれば「……なんだそりゃ」なものまでヴァラエティに富んだあれこれが掲載されているので、お遊び感覚で楽しみたい方にもオススメ。

テエマが決められているのと、自分で自由に書けるのと、室井さんはどちらがお好きなんだろう? ちゃんとテエマに即してエッセイを書かれていて、それが苦痛そうに見えなかったんでふとそんなことを思ったり。どっちも、大変と言えば大変なんだけど。やはり元々文才があるというか、文章を書くことに向いている方なのかもしれない。

昔やった心理テストでものごっつ印象的なものがあって、今でも憶えてる。それがコレ。

町にサアカスがやってきました。サアカスには沢山の動物たちがいて大活躍。みんな楽しそうです。でも、その中に一匹だけ仲間外れにされている動物が居ます。それは何の動物で、どんな理由でひとりぼっちなのでしょう?


回答して、これが何を表すのかを知った時、心の底から納得しちゃったんだった。心理テスト、って、時々「おお!」と核心を突かれて納得しちゃうような結果が出るんだよな……。

一応、結果は「続きを読む」に記しておきます。良かったら、どう答えちゃったか教えて下さいな。ふふふ。
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【2007/01/12 23:11 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(0) | トラックバック(0)
満ち足りた毎日。
365日雑貨暦
ナカムラ ユキ
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甘くない文化系女子本(何だそりゃ)。気づけばナカムラさんの本もこれで数冊目になる。欲しいと思いつつ買い逃したもの、買い逃したが最後既に入手困難になったものも数冊あるけれど。

まず装訂が好み。タイトル部分、画像だと小さくて見づらいし、実物を直接見ないと判らないとは思うのだけれど、エンボス仕様になっている。本物の消印風、なのだ。そして抑えた色味のコラアジュ。すっきりまとまっていて凛とした雰囲気があっていい。紙の手触りもなかなか。

「雑貨暦」、それも「365日」と来たら見たくなるのは必至(文化系女子ならば!)。毎日が雑貨と共にあるなんて! …って、思えば当たり前のこと。
私たちの暮らしには「雑貨」と何処から何処までを指すのか実はわからない、ナゾなモノが溢れかえっている。そして、何処から何処まで、なんて尺を必要としないもの、だともわかっている。それが「雑貨」の魅力なのだ。

という訳で、暮らしをちょっと振り返って、無ければ無くてもいいものから、あって欲しいもの、必需品、どうでもいいけどあると嬉しいもの、あれこれをピック・アップ。必ずしも直接的に「雑貨」とは呼び得ないものまでを取り上げている所からも「何処から何処まで」と定める必要なんてないわよ、ということが伝わってくる。何しろ、365日の初っ端、いちばん最初に登場するのは街角にある雪の積もったポスト、なのだ。

全編、一日ずつ、短い文章で綴られ、ポラロイドで撮影された、ちょっとけぶったような味わいのある写真が添えられるか、著者のカットが添えてあり、何処からでも好きなように読める。ナカムラさんだけの特別な「歳時記」としても読めるし、私たちひとりひとりにもそれぞれの「歳時記」があるのだとこっそり伝えてくれる。季節を問わないものもあれば、季節ならではなものもあって、自分が知っているもの・知らないものが365、紹介されているのだ。

そして、それだけ、の本。それだけ、なのがいい。写真を眺めているだけで、あれこれ想像を膨らませてもいいし、文章を読んでほっこり和むのもいい。
長い小説なんかを読んでちょっと疲れたな、という時の小休止にもいいかもしれない(文章読んで疲れた時にまだ読むのか、と言われそうですが、読みます、ええ)。
お茶のお供にも良さそう。のんびりと「ああ、何でもないけど何かいいよね」とほこほこ出来るので。

雑貨好きにはお馴染みのメエカア名や商品が沢山登場するのも楽しいトコロ。「ああ、それ知ってる!」とか「おお、やはりそれを御存じで」とか、親近感のようなものまで生まれてきてしまう。

ドラマティックな日常ではなく、日常がドラマティックに思える佳品。「だから、何?」と思うひとは思うのかもしれない。
私には宝石箱のような一冊。
【2006/12/27 19:09 】 | ほん:えっせい系。 | コメント(0) | トラックバック(0)
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