冷めぬ熱、覚めぬ夢。

阿鼻叫喚ディナー。

世界の料理・メニュー辞典―最新海外旅行者のための
学研辞典編集部
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学会というのは、どんな学問のソレであっても、終えた後の慰労会というか打ち上げのようなものはあるんだろうか?

とある学会に出席した時、その打ち上げのようなもの、に学生・院生たちも御一緒させていただくことになった。確かに私たち学生・院生たちは会場作り等に奔走し、それなりにお手伝いはしたにはしたが、……そりゃ当たり前といやあ当たり前であって、労いによく冷えた缶ジュースのひとつも頂戴できれば有り難い、と思うべき程度のものだと思っていた(学会に出席して、あらゆる論文・論述を拝聴させていただける機会をこそいただけるてえのが有り難い、んだから。って、何とも日本人的発想ね♪)。
これは私の論文主査である教員がひとえに太っ腹な(というか見事な potbelly・笑)方で、……何ということもなく振る舞うのがお好きな方であるらしかった(私はお座敷で1貫単位ナンボやねん、なお鮨を御馳走になったり、豆腐料理専門の割烹料亭のようなところで湯葉だ何だといただいたこともある。昼食に呼ばれるなんつーのは日常茶飯事。真っ昼間からボリュウム満点のステーキをいただいたこともある…というか食える自分がセツナイ……食い過ぎで演習中眠くなるっちうねん! 個人的には、有り難さと申し訳なさともうひとつ、鬱陶しさ、が実はあった。食い物で懐柔される気がして、お誘いがかからぬよう必死で学内を逃げ回ったほどだ)。

その学生・院生のメンバーの中に、留学生も居た。居た、どころか日本人学生より人数は多かったほどだ。すべてアジア系で、国籍も様々。中国、台湾、インドネシア、タイ、韓国…とそれぞれの国の正装で出席したら、それはそれは華やかであったことだろう。
私たち日本人はやはりというべきか、この「招待」に対して、「申し訳ございません、気遣っていただいて」というキモチが強いのだが、留学生たちは「呼ばれて嬉しい、有り難い、得した」とヒジョーにあっけらかんと受け入れる。「やったー! おなか空いたー」と無邪気に声を上げる私より年上のSさん(台湾)が可愛いと言えば可愛い(笑)。

さすがに、全国津々浦々から集まった教員の皆様方と同じテエブルを囲む、ということはなかった。一緒に、なんて美味しいものも美味しくなくなるわ! …緊張するし。そんなわけで、末席にぽつねんと隔離された陸の孤島の如き席が出来上がる。これすべて学生・院生。
食べることの大好きな教員が準備させただけあって、無駄に豪華であった。大皿料理ではあるが、前菜から何から、するすると手際よく従業員の方々によって運ばれてくる。正直なところ欠食児童な私たちは、遠慮もどこ吹く風で、鬼のよーに食べ物を頬張ることに熱中し始めたのであった。

「これ、何の肉でしょうか?」。
彼女たち留学生と同席すると必ず耳にする台詞である。敬虔なるイスラム教徒であるPさん(インドネシア)、仏教国・タイから来たUちゃん、2人はしきりに料理の皿に載せられて登場したモノたちを確認したがる。そう、まさに「宗教上の理由で」食べられぬものがある故、必死でそれを避けねばならないのだ。
「……これ、ハムだからなあ……。ハム、たいてい豚肉でつくるよね?」
とつぶやくと、「ぎゃー!」とPさんが箸でつまんでいたそれを皿にぶっ飛ばす。そ、そうか、箸で、とは言え、触れることも避けたいものか。
「コレ、何?」
Uちゃんがつぶやく。見れば挽肉をつかった料理である。
「あー、うーん、挽肉って、合い挽きがウマイからね、豚と牛(7:3、がイイカンジよ♪)、混ざってること、多いよ」
「ぎゃー!!(×2)」
こうして避けられてしまった禁忌の肉は、私たち日本人や韓国人、台湾や大陸からの留学生の口にするすると収まってゆく。美味しくいただいております、調理した皆様。御安心召されよ。
刺身や魚料理が出てくると、俄然留学生たちが嬉しそうになる。そりゃそうだよなあ。心配なく食べられるものねえ。
「コレは?」
「ああ、そりゃトリだね。大丈夫だよ。美味しいよ」
「よかったー!!」
こうなると、私たち日本人や「宗教上の理由」を持たぬ人間はお毒味役のよーなもんである。パッと見で判断できないのもあるので、食べてみては数人で討論するのだ。
「これ、純粋ウシオンリィかね?」
「うーん、ウシのみ、じゃない?」
「こっちはブタっぽいですよね。あー、でも、オレいつもそんな考えながら食ってねえからわかんねーなー……」
「ヒツジは問題ないんだっけ?」
「ユダヤ教だと適性に処理された肉じゃないと食えないの、ってあったよね。アレ何だったっけ?」
だんだん方向がズレていきつつも、「ブタ!」「ウシ!」「トリ!」「混合かも! 注意!」と判断を下してゆく。それを聞いて初めて「宗教上の理由」を抱えた留学生たちが口に食べ物を運んでゆく。

「ぎゃー!」という絶叫と「よかったぁ〜」という安堵の声に包まれながらも、私たちは食事を続けた。食べられないものがどんどんこちらに流れてくる。あっちが川の上流、こっちは下流だな。ああ、どん〜〜どん、流れてくるぞー……。
「ほれ、男の子やろ? もっと食べり」
姉さん格の院生Mさんが学生Eくんにどんどん流す。
「うわー、嬉しいですー。満貫全席やー!!(半ばヤケ)」
私たちもイイカンジで壊れておりました。疲労と満腹感が〜〜。

「あ! コレ駄目!!」
ん? 台湾人のSさん、何か駄目なのってあったっけ?
「私、海老とか蟹、駄目!!」
……って、好き嫌いの問題かい! いただきますともよ。高級食材、滅多に自炊で食えませんもの。さあ、およこし!(←本性)

教員たちが地味〜〜にあるこほうるで壊れゆく中、私たちは「コレ、何の肉?」と呪文のように唱えながら黙々と平らげていったのであった。

その節はゴチになりました♪(って、誰に言うのがもっとも適当?・笑)

参考(?)文献。持ってます。「〜の世界地図」シリィズはどれも興味深くて楽しめるので好き。
食の世界地図
21世紀研究会
4166603787

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