今の所暫定1位。
2005-12-16 Fri 22:53
せつない誓い
アーリーン・ジェイムズ 新号 友子
4596609446

シリィズの中でこの6話目がいちばん読みやすいというか素直に楽しめたような気がする。

子持ち寡夫アダム・フォーチュンはまたしてもナニーに逃げられ、食事のために出かけたカフェでウェイトレスをしていたローラに出逢いひと目で惹かれる。彼女は子供の扱いがうまく、何より美しい。カフェのマネージャーに彼女が男性客(つまりアダム)に色目を使ったとあらぬ言いがかりをつけ、それに激怒したアダムは自分の名を明かし、彼女を辞めさせ、連れ去るようにしてその場をあとにした。自分のせいで職を失ったことと子供たちもまたローラを気に入ったこと、あれやこれやとリクツを捏ねて彼女を懐柔し(笑)、住み込みのナニーとして雇うことになる。
子供とどう接していいかわかっていないアダムを導き、あたたかな家庭を取り戻させるローラ。彼女も次第にアダムに惹かれてゆく。けれど、彼女はいずれこの家を去り、何処かに身を隠す生活をしなくてはならないと思っている。
かつての恋人が麻薬の密売人だったとは知らなかった。そして彼を愛していると思っていたのは幻想で、その男は執拗に彼女を追いかけている。彼女は逃げると同時に、大好きになってしまったこの一家を危険に晒すことが出来ない。
でも、アダムを愛してしまって……。

犯罪その他に巻き込まれて逃亡生活を送るヒロイン乃至ヒーロー、もよく見られる設定。緊迫した状況と、それとは裏腹に満たされた至福の時を与えてくれる環境とのギャップがそれなりのサスペンス性をもたらして、話の流れもイイカンジ。
何よりも、この話はヒーローであるアダムがとても誠実かつ忍耐強くて、自分の欲求を彼女に押しつけようとせずに居たのが読んでいて楽しめた理由、だな。カラダにモノ言わす野郎キャラつーのがどーも受け付けないらしい、私は。

ロマンス読者も、私のよーに何だかんだ言ってどういう設定だろうとそれなりに楽しめる人間も居れば、「この設定はパス」とか好みが細かい方も居る。「ヒーローあるいはヒロインのいずれかが子持ちってのがキライ。何か萎える」という意見を目にしたことが何度かあるけど、私はヘーキ。イヤなガキのせいでふたりの仲がこじれる、というパタアンは苛々するが!
この物語でも子供たち(女の子1、男の子2)が可愛くて(特に長女でもっとも年長のウエンディ)が賢くておしゃまで素直でヨロシイ。ローラの人柄をすぐに見抜き、気に入り、自分のママになって欲しいと願っているのでパパの恋を応援しちゃったりもする。下の双子の弟はやんちゃ揃いなのであれこれやらかしてくれるがそこはまあ御愛嬌(現実で遭遇したら攻撃対象ね♪)。

ローラは若い内に両親を失くして施設育ち。恋した男がろくでなしだと気づいた時にはもう遅くて、浮気をしているのかも、と尾行したら町の中でも危険地帯にある廃屋に入ってゆく。そこで麻薬の密売をしていることを知り、愚かにも彼と対決してしまったがために脅され、追われるハメになってしまったのだ。家庭のあたたかさや愛情を求めていたが故に犯さなくてもいい過ちを犯してしまったらしい。それだけに、「家庭」や「家族」に対する思い入れの深さが描かれる。
アダムは妻を亡くして以来子供たちとどう接していいかもわからず、面倒をナニーに見させ、軍隊に籍を置いていたものの退役。新たに仕事を見つけなくては、と思うものの、子供たちがいつもナニーと一悶着起こすので落ち着いて職探しも出来ない。フォーチュン家の事業に参加するつもりはなく、父親ともぎくしゃくしている。彼は彼で「家庭」「家族」の問題を抱えながらも、それを見まいとして失敗している。
ローラのある種献身的かつ無償の思いやり故に、ようやく子供たちとどう接すればいいかを悟り、家族や家庭が如何にかけがえのないものか気づくことが出来、同時に彼女に対しても愛情を感じている自分に気づく。
この辺りの描写がなかなかに細やかで、ほのぼのしたりしんみりしたり。父・ジェイクとの「和解」シーンはうっかり泣きそうになってしまった↓

互いに互いを愛していると確信し、結婚まで考えていた所に、来るんだねえ、お約束のよーに(笑)。
子供たちとアダムを危険に晒すまいと消えることにしたローラ。ローラに迫る危険を察知しあらゆる手を使って彼女にまつわる「過去」を調べ出し、救出に向かうアダム。
さあ、どうなる!

……ってまあもちろんハッピィ・エンドですともさ。
常に子供たちの幸せとアダムの心の平安、家族の和を願うローラが健気で好ましい。その彼女に恋をしてしまい、大切に思うアダムもなかなかにぐー。

あ、そういえば。アダム、は、えーと、第1話ヒロイン・キャロライン、第3話ヒロイン・アリソン(キャロラインの妹)、第5話ヒロイン・レイチェル(アリソンとは双子)の一番上の兄。あー兄妹多いやら親族関係入り組んでるやらで名前と係累憶えるだけで頭パンクしそーです。
確か7話目はシリィズ中初のパラ・ノーマルもの(ファンタシィ系や超常的な要素を含む物語はこういうくくりで呼ばれている)らしいんだけど、どんなもんだろう? 担当作家はバリバリその路線で活躍中のマギー・シェインなんだが(彼女の、少なくとも邦訳されてる作品群の中で、パラ・ノーマルじゃないものの方が珍しいくらいだ。代表シリィズはヴァンパイヤものだし。アン・ライスが受けたから書けしそれなりにウケたのでは、と勝手に思っている)。でもって、今回は物語中で誰が次の主役張るかほのめかしてなかったなあ。
とすでに本を所有しているのに何も知らないのであった↓ さあ、まだまだどんどん読むわよー。

最近再販しているので、入手し易いのはこちら。
せつない誓い―富豪一族の肖像〈4〉
アーリーン ジェイムズ Arlene James 新号 友子
4596821062

オンライン書店ビーケーワン:せつない誓い

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