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甘い部屋
樋上 公実子 ![]() ![]() 書店で見かけて一目惚れして購入。タイトルから受けるエロティックな印象もいいし、中身も濃厚でヘヴィな甘さで満たされている。ポスト・カアド集なのだが、ある意味小さな画集でもある。綺麗に取り外せるので、額に入れて飾ってもいいなあ、と思いつつ、まだ出来ずにいる。ひたすら、気が向いた時に眺める。 全体的に濃厚・濃密な雰囲気が漂う画風の方なので、好き嫌いがはっきり分かれるものかもしれないけれど、私はまさに一目で気に入ってしまった。中はひたすら sweets の絵で満たされている。人物と共に描写されているものもあるが、画面全部を焼き菓子や甘いもので覆い尽くされている。圧倒されるような描き込みぶりと、どっしりした重厚感のある甘みがどの絵からも滲み出るようで、そこがとてもいい。 サラリとしたアッサリした絵も好きではある。けれど、こういう不透明な絵の具を何層にも重ねて塗ったかのような絵も大好きなのだ。描き込みが少ない絵も好きだけれど、執拗なほどに描き込まれた絵も好きだ。 要は、その絵に惹かれるか否か、それだけなのだろう。私の好みにあまり統一感はないかもしれない。 食べ物とそこから派生するイメエジは何処か生々しくてエロティックな時があるけれど、彼女の絵はまさにそういう絵で、さらには蠱惑的でもある。水のようにするりと体内に吸い込まれてゆくのも悪くはないし好ましいけれど、圧倒されそうな色の洪水とまとわりつきそうな濃い色味もいい。少し毒が含まれていて、それが余計に官能的かつ美しい。 甘いものには少し「毒」が欲しい。食べれば食べる程止まらなくなる媚薬のようなものが欲しい。クリィムにチョコレイト、香しい花々と果実とに囲まれてレエスや別珍にくるまれた少女が眠っているようにも空想に耽っているようにも思える表紙の絵には、確かに喉と舌に絡みつくような甘みと毒を感じた。食べなくてはいけない、と無意識に感じてしまう。味わわなくては後悔する、味わっても後悔する、禁じられた「甘さ」。夜、ベッドでひっそり誰かと分け合って食べるチョコレイトのような、少しの……罪と。その美しさは見られてはいけない秘密のように仄暗い輝きを放つ。 もし見られるなら、こんな「悪夢」がいい。溺れそうな程の大量の sweets 。芳香を放つ果物と花。酔って倒れようものなら、ひたすらに降り注ぐ甘いものだけに埋め尽くされる。醒めたい? 否、醒めないことを望むようになるのだ――それも、自ら。そのまま浸り続ける。抜け出せない。甘い呪縛、芳香の檻、色彩の洪水。 御自身のサイトがおありで、其処のギャラリィから作品を拝見出来るので、興味を持たれた方はどうぞ。 |
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