ハーレクイン 2006年 06月号 [雑誌]
6月号出ました。あまぞんより到着(しかし、コレを買うためにほかの本も頼んでしまうハメになるんだよなー。……購入予定がっつりあるからいいけど何やってんだろう、と我に返ると辛い・笑)。
てな訳で今月も感想いきます。
シークの人質―砂漠の王子たち〈1〉アレキサンドラ セラーズ Alexandra Sellers 山野 紗織
コミカライズ担当:星合操(巻頭カラー/描き下ろし)
セラーズ、人気作家らしいのだけれど、そんなに面白いのか? というか、日本ではシークものとラテン・ヒーローもののウケがいいそうだが、どちらも自分のど真ん中ではないので「……そんなにいいかねえ?」としか思えない(と言いつつ、かなりの冊数持ってるんだけど↓)。
作画担当は星合さんで、隔月で初期3部作全作を描き下ろすとのこと。ひえええ。私は彼女の絵は嫌いではないし(懐かしの「ユニコーンの恋人」を昔の「ひとみコミックス」ver.で買って持ってたりする。……古本屋でセット買いしたんだけど↓)、華があるなあとも思うんだけど、ことHQの作画に関して言えばやや微妙。125pほぼ全ペエジ裁ち切り、バスト・ショットとアップ多め、と何となく手抜きに見えてしまうのだ。絵はね、綺麗なんです。今風ではないけれど。極端に主線が荒れることもないし。ただ、画面として「ちょっとなあ」と思うことが多い。
今作はそういう意味では比較的読める出来映え。
両親の取り決めで愛のない結婚をさせられつつあるヒロイン・キャロラインが独身最後の単独旅行の行き先として選んだのは砂漠の宝石と呼ばれる西バラカット公国。フィアンセと行くつもりではあったものの、彼はそんな国には興味を示さない。「ひとり」を満喫するのだと意気揚々出かける。
一方、その西バラカット公国ではプリンス・カリムがどういう理由でか、彼女とそのフィアンセの到着を待ちわびていた……。
タイトルの「シークの人質」という時点でどういう展開かバレバ~レではあるのだけれど、まあ多少含みも感じられるだけマシか。どーも最近は直截的タイトルが多すぎて情緒に欠けるきらいがある。
一国の将来を担うプリンスが何故アメリカ人女性を「人質」とするのかとかには比較的納得出来なくもない理由があって、そういう意味ではまあ楽しめた。何しろシークものとゆーのは「権力・地位にモノを言わせて拉致監禁」がお約束的展開なので↓ 理由が彼なりに「正当」な時もあるにはあるが、大抵は「ヒロインに惹かれたから」とかいうとんでもねえ理由。
立派な犯罪者である。
コミカライズ、テンポがいいと言えばいいのだけれど、どうもさくさく進みすぎて何となく余韻とかタメに欠けるカンジ。
銀色の湖サリー ウェントワース Sally Wentworth 柊 羊子
コミカライズ担当:篠崎佳久子(カラー有/描き下ろし)
ヒロイン・アリーはPCソフト制作会社で働いており、ロシアが誇る金細工師・ファルベルジュの作品の取材で当地を訪れた。ボスが勝手に彼女のために雇った通訳と現地で合流。通訳・ドレイクは魅力的ではあるものの、やたらと自分に対して「保護者としての男性」として振る舞い、彼女の意思等を考慮していないかのような態度で接することに苛立つ。
日々取材をする彼女には実は本来の目的とは違う何かがあるらしく……。
ここ最近の篠崎さんのコミカライズ作品の中では充実度が感じられて面白かった……んだけど、ロマンス要素低め、謎解き要素高め、のために、「ああ、HQ読んだなー」という充実感はあまりなかった。むう。その謎解きというかある種のサスペンス要素の部分は伏線なんかもそこそこ丁寧でよかったんだけど、ヒロインが秘めている謎とそれに基づく行動が丁寧に描写されている分、ロマンスにかかわる部分がちょっと足りない……。むう。
ヒーロー・ドレイクに婚約者が居る、というのもちょっと萎え要素(まあ一応あれこれ理由はあるけど)。その婚約者の在り方も、軽々しく扱うなよ、な設定の女性だったために、ラスト結ばれるふたりに素直に祝福を贈れない気分にさせられるんだよなあ。何でこんな設定にしちゃったんだか(そこの部分がヒーローの行動原理にも結びついているので、解らないでもないけど)。
わたしが愛したボスエリザベス ベヴァリー Elizabeth Bevaly 遠藤 和美
コミカライズ担当:曜名(カラー有/描き下ろし)
オードリーは自他共に認める不運の持ち主。日常をフツウに過ごしているだけなのにあれやこれやと何かしら事故や不運に恵まれる。派遣社員として仕事をするものの、彼女自身ではなく彼女の不運の故に評価が低く、それを気にしている。
そこに降って湧いた広告デザイン会社臨時秘書の仕事。何でも事業主は傾き欠けた会社を建て直すのに必死らしく正社員を雇えない模様。早速その会社に出向くなりドアに強か顔をぶつけるハメになるオードリー。ドアを開くことで彼女の顔を痛めつけた(笑)張本人・ウィーラーこそが社長だった。これが大変なハンサムでオードリーはときめいてしまう。
不運な男の元で働かせることになって申し訳ないと言う彼に不運なら負けないと応じるオードリー。さあどうなる!?
……何を原作にしてもちゃんと曜名さんテイストになってしまうのがスゴイ。原作はワイルドなHOTさがウリの「ディザイア」だとは思えないきゅーとさ炸裂。とにかく何やってもトラブルに見舞われ続けるオードリーが可愛い。でも、可愛いだけではなく、ウィーラーすらも驚いてしまうような大人物とも奇妙なコネや繋がりを持っていて、彼にするすると幸運をもたらしてしまう。
ウィーラーはHQには珍しく困窮状態にあるヒーローで、努力と才能のひとであることがちゃんと描かれているのも好印象(あ、それは原作がそもそもそうなのか)。単にごーぢゃ~す☆な男で幾ばくかそうらしいということが描かれるだけのヒーローよりずっといい。
少しずつ互いの距離が縮まると同時に現れたライバル女というお約束の展開が君を待つ!(笑)
いやもうひたすらかっとんでて可愛くて楽しい作品だった。
シークに魅せられてシャロン・ケンドリック 吉本 ミキ
コミカライズ担当:JET(カラー無/再録)
そもそもは描き下ろしコミックス作品。スピンオフに至るまで一環してJETさん担当なのが嬉しい♪ この作品そのものはこのブログでは2度目の登場だな。以前原作読んでレビュウ書いてます。ということで、知ってる既読作品。
面白かった♪ JETさんは絵にクセがあるので、受け容れられるひととそうでないひととにぱっきり分かれてしまいそうなのだけれど、私としては個性的で好き。これも所謂シークものだけれど、砂漠に生きる男の荒々しさ・無骨さが出ていて、そこが何ともせくしぃVv 星合さんのシークはいつもキラキラ美麗なシークばっかりだよなあ……。まあ少女まんがの常ではあるが。
親友の結婚式に出席したローズは、花婿の親友だというシーク・ハリムと出会い、その強烈な印象に圧倒される。惹かれている自分には気づくものの、ハリムの「女はもれなく自分の前にあっさりと陥落する」と決めてかかる態度が気に入らず、屈したくもない。
出来ればもう関わりたくないと思っていたのに、有能なヘッド・ハンターである彼女の素性を調べ上げたハリムは自国・マラバンの人事に関して彼女の意見が聞きたいと言い、マラバンへ来るよう要請する。仕事とあっては断れないローズ。
何処までも強気なふたりは、それでも互いを求める気持ちを偽れず、ついには結ばれる。けれど「未来」があるとは思えずに、――。
無駄なくソツなく綺麗にまとまっているけれど読み応えもちゃんとあって満足♪ 重い背景なんかもあるけれど、少しコミカルな可愛らしい部分もあって、バランスもいい(で、そのコミカルな部分がそれなりの深みを与えている、と)。
今月は特にものすごい不満、というのは涌かなかった。曜名さん作品がくりてぃかる・ひっとですVv 相変わらず女性キャラが華やかで可愛いVv 男性キャラも初登場時に比べてかなりイイカンジになってきました。
来月は小林博美さん、岡本慶子さん、ハザマ紅美さん、英洋子さん(再録)の4作。……○本さん、人気あるんだ? 私には耐えられない。あのデッサン狂いまくりの人体に生気のない瞳、のっぺりした凹凸の感じられない顔……どれを取ってもプロのレヴェルの絵に見えないんだが。「な○よし」ではそれで許されてもなあ。絵にもごーぢゃすさが求められるHQにあってそれはいいのだろうか。許容外だと思ってるのは私だけではないぞー。とりあえず、他のお三方にはフツーに期待。