「ハーレクイン」と銘打ってはいてもオリジナル作品が掲載される違和感に未だに慣れない。もっと慣れないのは、そのオリジナル作品が巻頭を飾る、ということだ。他誌に掲載されていたら何とも思わないと思うのだが、……何故HQ社からコミカライズする許可を得てまで発行しておきながらオリジナル……。おまけに恋愛説教モノだし(ものすごくあれこれはしょって言うと、悩める男女にナゾの占い師が道を拓いてやるべく恋のなんたるかを説いたりして最終的にくっつくお手伝いのよーなことをする、のがお約束のまんが)。御本人色々一過言おありの方らしく、そういう意味では興味深い方なんだけれど、……HQじゃないから。HQをどう料理して食わせてくれるか、に興味あるんで。HQを銘打った雑誌でやらず、恋愛モノの雑誌でゼヒ、と。
今回もまた描く気があるんですかと尋ねたくなる某作家さんが描いておられて、どんな出来かと思ったのだが。……目がスルーしてしまう↓ 物語のあらすじも理解出来ない程の拒否反応。うああああ↓
秘密の小箱
レイ・マイケルズ 久坂 翠

コミカライズ担当:佐々木みすず(カラー有/描き下ろし)
エロエロしいレディコミの方がよほど丁寧かつ力は入っているように見えたことがあっただけに、こちらでは手を抜いているよーに見えるのが気になる。キャリアはなくても丁寧に手を抜かず描く若手も居る訳で、そう思うと何も無理に描いて頂かなくても、という気分になってしまう。
もう目からすこすこ抜けていっちゃってあらすじも判らない↓ 弁護士見習いのヒロインが、遠縁の女性から財産を譲られることになって一悶着、みたいな話らしいことくらいしか。
ヒロインの表情が抱いているであろう感情とかみ合ってなかったり、とか、小さい所で躓いてしまってなかなか読めない。面白いとも思えないまま。
原作はどんなカンジなのか気になるって意味では貢献してるか。
消された愛の記憶
アリス・シャープ 竹内 喜

コミカライズ担当:佐柄きょうこ(描き下ろし/カラー無)
妊娠したことを勇気を出して恋人に告げたヒロイン。ところが告げた相手はよく似た双子の兄の方。おまけに恋人は不実で、自分を捨てようとした男。それでもせめて妊娠したという事実だけは告げておこうと思って訪ねたもののけんもほろろな応対をされる。その夜恋人が兄と共に事故に遭い、兄は死亡、辛うじて一命を取り留めたと知らされ病院に駆けつけることに。彼は記憶を失っていた。
来ましたよ。記憶喪失。ヒューズでも飛ぶみたいにばんばんいきますからね。ホントに。
兄は人格者、弟は最低野郎、という設定+ふたり一緒の事故+記憶喪失、ときたらその後どんな展開かは想像がつこうというもの。ええ、多分アナタの思った通り。
記憶喪失ものは、「たとえ記憶を失っても愛を感じる対象は変わらない」ということを端的に表せるから好まれるんだろーか。あるいは「同じひとに改めて恋をするトキメキ」とか。コレは多少その辺りを捻ったオハナシになってるんだけど。
コレの前に読んだ作品が作品なので安心してさくさく読めた。
大昔読んだ時の佐柄さんの絵を憶えているのでちょっとだけ違和感が。ここまで絵が変わる方はちょっと珍しいような。昔の可愛らしいタッチ、好きだったなあ。今は何となく背伸びしてるように見える。
甘い降伏―役員室の恋人たち〈2〉
リズ フィールディング Liz Fielding 鈴木 けい

コミカライズ担当:狩野真央(カラー有/描き下ろし)
三女のフローラは装飾学が専門の学者。ある南の島で発見された壁画と装飾品の調査及びそれについての著書の上梓を依頼されて赴くことに。そこに、今現在経営権の独占を争っている共同経営者の相手側一族の男性がシャドー(密着調査)として同行すると言ってきた。経営に関してまったく関わりがない訳ではなく、長女インディアにも受けて立つよう言われてしまったために妥協するフローラ。
空港で落ち合うハメになった男性は確かにゴージャスで魅力的だった。けれど、フローラは秘めた過去故に「絶対に」次女ロマーナのように「敵」の男に騙されて恋に堕ちるなんてことは無いと胸に誓う。
やっと2作目Vv 3部作の連チャン、どうせなら本誌で読みたかった(涙)。たとえ隔月とか間隔空いてもいいからさー。
今作も大満足。丁寧にふたりが惹かれ合っていく様が描かれていて、読んでいてわくわくする。
本当はロマーナ同様ゴージャスで美しいのにあえて自分を地味に見せようとするフローラと、遊びで付き合うことしかしてこなかったプレイボーイの弁護士ヒーロー(名無しかよ!・笑)とがゆっくり理解を深めながらうち解け合ってゆくのが楽しめる。一見チャラチャラしているようでいて、ヒーローも実は過去に色々あって…という部分もちゃんと描かれていていたわり合うような優しさがあって良かった。
どうでもいいけど、ヒロイン3人が国の名にちなんだ名前っぽくてふとベッカムを思い出した↓(ロマーナ→ローマ、フローラ→フィレンツェ、インディア→インド、つーカンジ?)
3部作最後は長女インディアの物語。楽しみにしてよー♪
結婚の条件―今日から先は 3
デビー・マッコーマー 段 陽子

コミカライズ担当:瀧川イヴ(再録/カラー無)
瀧川さんはコミカルさも取り混ぜてうまくまとめるのがお上手なので安心して読める作家さんのひとり。ヒロインも魅力的だし、ヒーローが胸板厚くて逞しい格好良さに満ちていて「うむ、男はこーでねえとな!」と思わせてくれる。
ヒロインは結婚コオディネエタア。自立ししっかりした性格ではあるものの、幼少の頃の事故で負った怪我のせいで足に障害があり、そのことを気にしている。ある女性の世話をすることになった所、その兄だという人物が乗り込んでくる。彼女の結婚に反対し、また結婚そのものにも懐疑的であることを知る。
顧客の望みを叶えるべくその男性と闘うことを選ぶヒロイン。ところがイヤなだけの人物ではないことが判ってくると惹かれてしまう。それはどうやら相手も同じらしく――
デビー・マッコーマー作品にはヒーローやヒロインとして障害を持つ人物が時々登場する。HQの良さは「誰だって幸せになれるよ」という前向きさもそのひとつ。障害があろうとバツイチだろうと過去に不幸な体験をしていようと、望めば叶うんだ、というポジティヴさがある。そこは大いに評価していいと思うんだけどなー。なので、どういう設定でも基本私はおっけー。
皆好みがあるのだ。「ヒロインはヴァージンじゃなくちゃイヤだ!」というひとは結構ザラ。
HQには性的暴力を受けた、という過去を持つヒロインも登場するのだけれど、それを避けたがるひとも多い。「幸せな気分に浸りたいから読むのに、そんな重い過去はちょっと」という理由もあれば「リアリティではなくて、夢物語、ファンタシィとして楽しみたいのにそんなヘコむ設定は勘弁」という理由もあって、それぞれそれなりに理解出来る。軽く扱っていい問題でもないし。
でも、「性的暴力に合ったひとの大半はなかなかそれを乗り越えられず過去に苦しむ」という統計上の事実の一側面だけを取り上げて「現実にそういう被害に遭ったひとが恋愛なんて出来ない」と被害に遭ってないひとが「簡単に」言うのもどうかと思う。たまにいるのだ、「そういうデエタがあるんだし、そういう現実踏まえたらその設定はイヤだ」というひとが。
それはそれで失礼だと思う。勝手な決めつけだし、可能性を信じたいひとにはそれこそ「アンタには夢見ることすら出来ないわよ」と一方的に押しつけるだけっぽいではないか。確かに簡単に乗り越えられるものではないとしても、新たな一歩を踏み出せる可能性が皆無だと決めつける権利は誰にもない。
長くなった。
ヒロインは、自分は身障者、男は女をアクセサリィのように自尊心を満足させてくれる完璧な存在でいて欲しいと望むものだから、自分なんかを求めるひとは居ない、と頑なになってる。ヒーローは彼女の頑なさを理解した上で、彼女の魅力に気づき惹かれてゆく。そして何故か結婚するハメに(えー・笑)。しかしそれは契約結婚。とはゆーものの、やはり惹かれ合うのを止められなくなって……と決して軽くはない面があるものの、何処か優しくてコミカルな部分があって楽しめた。満足Vv
3回連続で掲載中の「黒百合の復讐」ではヒロインが何故自分が攫われたのかを知らされると同時に、自分を攫った男との間に生まれる感情に互いに振り回されて……とドラマティックな展開に。ラストがやはり楽しみ。
次号はベテランに混じって初登場の作家さんが居たり、3号連続企画最終号で大団円が迎えられたり、と楽しめそうな予感。5月まで待つのだ。
2007/03/16 23:07 |
ほん:HQ。
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