拠火園雑録

緑ノ指デ、描ク庭。

満ち足りた毎日。

365日雑貨暦
ナカムラ ユキ
4877586423

甘くない文化系女子本(何だそりゃ)。気づけばナカムラさんの本もこれで数冊目になる。欲しいと思いつつ買い逃したもの、買い逃したが最後既に入手困難になったものも数冊あるけれど。

まず装訂が好み。タイトル部分、画像だと小さくて見づらいし、実物を直接見ないと判らないとは思うのだけれど、エンボス仕様になっている。本物の消印風、なのだ。そして抑えた色味のコラアジュ。すっきりまとまっていて凛とした雰囲気があっていい。紙の手触りもなかなか。

「雑貨暦」、それも「365日」と来たら見たくなるのは必至(文化系女子ならば!)。毎日が雑貨と共にあるなんて! …って、思えば当たり前のこと。
私たちの暮らしには「雑貨」と何処から何処までを指すのか実はわからない、ナゾなモノが溢れかえっている。そして、何処から何処まで、なんて尺を必要としないもの、だともわかっている。それが「雑貨」の魅力なのだ。

という訳で、暮らしをちょっと振り返って、無ければ無くてもいいものから、あって欲しいもの、必需品、どうでもいいけどあると嬉しいもの、あれこれをピック・アップ。必ずしも直接的に「雑貨」とは呼び得ないものまでを取り上げている所からも「何処から何処まで」と定める必要なんてないわよ、ということが伝わってくる。何しろ、365日の初っ端、いちばん最初に登場するのは街角にある雪の積もったポスト、なのだ。

全編、一日ずつ、短い文章で綴られ、ポラロイドで撮影された、ちょっとけぶったような味わいのある写真が添えられるか、著者のカットが添えてあり、何処からでも好きなように読める。ナカムラさんだけの特別な「歳時記」としても読めるし、私たちひとりひとりにもそれぞれの「歳時記」があるのだとこっそり伝えてくれる。季節を問わないものもあれば、季節ならではなものもあって、自分が知っているもの・知らないものが365、紹介されているのだ。

そして、それだけ、の本。それだけ、なのがいい。写真を眺めているだけで、あれこれ想像を膨らませてもいいし、文章を読んでほっこり和むのもいい。
長い小説なんかを読んでちょっと疲れたな、という時の小休止にもいいかもしれない(文章読んで疲れた時にまだ読むのか、と言われそうですが、読みます、ええ)。
お茶のお供にも良さそう。のんびりと「ああ、何でもないけど何かいいよね」とほこほこ出来るので。

雑貨好きにはお馴染みのメエカア名や商品が沢山登場するのも楽しいトコロ。「ああ、それ知ってる!」とか「おお、やはりそれを御存じで」とか、親近感のようなものまで生まれてきてしまう。

ドラマティックな日常ではなく、日常がドラマティックに思える佳品。「だから、何?」と思うひとは思うのかもしれない。
私には宝石箱のような一冊。
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