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2007-03-26 Mon 23:06
霧の森ホテル 1 (1)
篠原 千絵 ![]() 読み切り連作で、今も「プチコミック」にコンスタントに掲載される作品がコミックス化。「1」とナンバリングされ、それなりに長期に渡って楽しめるのかな、と期待。 雑誌掲載時は敢えて読んでおらず、コミックスになってからまとめて3作読んだのだが、ここ2〜3年描かれて来た短篇(連作ではあるけれど)の中では素直に面白いと思える作品だった。 物語の舞台は「霧の森ホテル」。何処にあるか判然とせず、行く必要があった人物のみが行けるらしい霧に包まれた不思議なホテル。 昔からよくある「何処かには在るが故に何処にも無い」、「何らかの条件・目的があったひとのみが訪れることの可能な異界」訪問譚。よくある設定としては骨董店が見られる(CLAMPの「xxxHOLiC」はベタにコレ。また、S・キングの作品に「ニードフル・シングス」という作品があるがこの系譜の物語。ただし、こちらは全ての人々に厄災をもたらす存在。特定のヒトに特定のモノが、というのは共通してる、か)。大抵そこの従業員・住人は真っ当なようでいて何処か「現実」とはかみ合わない何かを漂わせる。 その手の物語では後味の悪い結末が待っていることが多かったりもするものの(私がそう思ってるだけか?)、こちらではほぼ概ねホテルに辿り着いた人々は何らかの安寧を得ることが出来ている(詳細まで追えば、必ずしも安寧・幸福とは言い難いものは多々散見されるが)。 「殺人のすすめ」 愛した恋人に振られ、自殺を決意したものの、遺書を猫に持って行かれ慌てて追いかけるヒロイン。辿り着いたのは霧に包まれた不思議なホテル。何故か彼女は予約したことになっており、泊まるハメに。翌朝チェック・アウトしようとした矢先に元恋人と婚約者が訪れそのホテルで式を挙げると言う。 どういう訳か元恋人の殺害を勧めるかのようなことばかりを言う従業員たち。彼女は変装し、手に入れた劇薬を手に潜ませ、かつて愛した男に近づいてゆく。 「放たれた扉」 何処かに向かう筈だったことを忘れてしまった女が猫に導かれて辿り着いたのは不思議なホテル。携帯には2件、男の名前とナンバア。電話をかけたことによりその2人が現れる。徐々に記憶を取り戻し、自分が2人の男性を愛しており、どちらかを選ばねばならなくなったこと、そして最終的にどちらかを選んだことを思い出す。なのに、何故かどちらの男性を選んだのかだけが思い出せない。それぞれの激しさと直向きさに惹かれ、どちらも選べないと悩むヒロイン。思い出したのは、―― 「ラビリンス」 「子供なんて産みたくない、愛せる筈がない」――奔放で自分を愛してはくれなかった母親に育てられた少女は、それでもそんな母親を愛していた。ひとり街を彷徨っていた彼女が猫に導かれて辿り着いたのはホテル。其処には既に母親が居て、相変わらず自分など存在しないかのように振る舞い、邪険にする。限られた空間ですら母を追いかけることしか出来ない少女が知った「真実」。 常に霧の中にあり、「ホテルに来た理由・目的」が完遂されるまで出られない。しかし、直接的に誰が求めた訳でもなく、「客」となる人間は一方的にその場所に来るよう仕向けられる。「いい」ことも「悪い」ことも公平かつ平等にもたらされ、当の本人も気づかぬ「願い」や「欲望」を叶えてくれるかのような場所。その場所には二度と辿り着くことが叶わない。 ――という舞台装置はベタとは言え、あれこれ自由に出来るため、「ホテル」という閉鎖的な場所であってもアレンヂのしようでかなりのヴァリエイションが期待出来そう。サスペンス+オカルトっぽい世界観なので所謂「世にも奇妙な物語」的内容及び雰囲気がある(ので、そのテのものが好きなひとは楽しめる「かも」)。 それ程入り組んだ物語、という訳ではないけれど、独特の雰囲気が感じられて好き。個人的には今後も楽しみ。 ネタさえあればいくらでも描き続けられる設定だけに、どれだけ楽しませてくれるかに期待。 |
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