冷めぬ熱、覚めぬ夢。

今月のHQCM。14

ハーレクイン 2007年 06月号 [雑誌]
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巻頭作品で萎えさせてくれるとは……。「華麗」という意味では許容どころか大歓迎だけれど、……HQのヒーローは「華麗」だけではダメなんだ、と解ってない方にはコミカライズは向いてない、と思った次第。

約束はいらない
イングリッド・ウィーヴァー 長田 乃莉子
459600403X


コミカライズ担当:浜口奈津子(巻頭カラー/描き下ろし)

真夜中、ヒロインがベッドで寝ているとひとの気配。裸の男が窓から侵入していてヒロインはパニックに陥る。魅力的にして良き隣人……と思っていた彼は実は警官で潜入捜査中の名前を騙り、殺されそうになった所を間一髪で交わし、隣室の彼女の部屋に電話を借りに来たのだった。ヒロインがケイタリング業を営んでおり、彼女が今追いつめたいと思っている容疑者の家で仕事があると知って、同伴させて欲しいと頼み込む。

出だしはどう見てもド変態の犯罪シーン(笑)。まあでも掴みはおっけー、とゆーところでしょう。
これ、とにかく物語がどうの、とか言う以前に絵が問題。ストリート・キッズとして過ごしていた過去があり、(現場で活躍する)刑事というタフネスさの代名詞的職業についていながら、ティーンエイジャー並に華奢。スレンダアもいいところで、逞しさのカケラもない。
説得力、皆無。
ベビィ・フェイスで華奢でスレンダアで……辛い過去がどうの、だの、仕事で命懸け、だの言われたって高校生がちょっとシリアスしてるくらいにしか見えない。
浜口さんの絵は美麗で素敵だけれど、……逞しさも魅力とされるHQヒーローを描写出来ないようで、正直不向きとしか言いようがない。ふだんの、御自身の作品の時ならそれでいいのだ。でも、「HQ」では許容出来ない。
ヒロインも合わせたかのように若い通り越して幼くすら見える。欧米人は日本人羨む程成長早いっちうか、……その、老けて見えやすい、んだからさ、実際に(勿論、年齢相応だったり年齢より若く見えるひとだって沢山居るけれども!)。
「下手」ではないだけに余計に際立つ。今後もしHQで描いて下さることがあるなら、余程原作を吟味した方がいいと思う。キレイなだけでは「HQ」では成立しない。

悩めるプリンス
ローラ ライト Laura Wright 氏家 真智子
4596510431


コミカライズ担当:橋本多佳子(カラー有/描き下ろし)

幼い頃夢見ていた人魚のような女性を一夜を共にしてしまったヒーロー。実は彼はある国の王子で、国民には公表していないものの離婚したばかりだった。一夜を共にした女性は遙かアメリカからひとり航海してその国に辿り着いたものの、船が大破。そこを救われたのだった。彼女がもし妊娠したら跡継ぎとして迎えなくてはならない。それを理由に彼女を引き止めるヒーロー。ヒロインもまたある理由があってここまでひとりでやってきたのだ。惹かれ合いつつもすれ違うふたりと妊娠の行方は……。

安定した作家さんなので、安心して読める。裏表のない素直なヒロインと、ちょっと不器用でやや自己中心的ではあるものの孤独を抱えるヒーロー。まあベタな組み合わせ。彼女によって癒されて愛に目覚める的な展開ですな。
ある意味これといってひっかかりがないと言えばない、するんとした物語で、もう少し山とか情熱が欲しかったかと。優しいタッチで嫌いではないのだけれど。
今回はカラーの色の出がサイアクで吃驚した。ぼやーっと霞んじゃってる。ああいうのは校正対象というか、チェック対象にはならないのか? 作家さんにも失礼だと思うんだけど……ふだんのカラーや、次に続く本編の1頁分のカラーは問題ないだけに余計に気になる。

見せかけの求婚
サラ ウッド Sara Wood 夏木 さやか
4596119368


コミカライズ担当:篠崎佳久子(カラー有/描き下ろし)

祖父に突然結婚を強いられそうになり、自分とはまるで正反対な、結婚に不向きな女を演じてそれを逃れることを計画するヒロイン。あることが原因で子供が産めない身体になり、それ故に愛故に結婚し、ありのままの自分を受け容れてくれる男性を求めていた。両親の死因を詳しく知りたいこともあり、生まれた国ポルトガルに渡るべくイギリスを発つ。迎えに来ていた男性をただの運転手だと思い込んでいたが、実は彼こそが無理矢理に結婚させられそうになっている相手当人だった。

ここ最近の篠崎さんのコミカライズの中では暫定1位で面白く読めた。テンポもまずまずだったし(何というか、独特の滞留感が漂っている、どことなく。なので、サスペンスな展開もとろーんとして見えてしまう、私には)、ロマンスそのものとヒーローやヒロインたちの過去の問題とのバランスも悪くない。ラストもやや駆け足ではあるものの、落ち着くべき所に着地した感じにまとまってる。
これも表紙のカラーがヒドかった。篠崎さんのペン・タッチやカラーはややクセがあるから、そのせいなんだろうか。ビミョー。

奥様、お手を
エマ ダーシー Emma Darcy 高杉 啓子
4596000654


コミカライズ担当:知原えす(カラー有/描き下ろし)

ある家の当主は妻を亡くして以来抜け殻状態。執事が心配すると共に業を煮やし、傍系でもいいから継いでくれる人物を連れてきてはどうかと提案。それはまだ9歳の少年で、夫のいない自立した女性がひとりで育てている。彼女に興味を持った当主は彼等が暮らすオーストラリアに旅立ち、会うことにした。「当主」としてではなく、その「執事」として。

……フヌケ野郎のヒーローと、母親が女手ひとつで必死になって育てているっつーのに、躾られてもいるのにマナーなってなかったり(よくある子供らしさなんだけど)カネにがめつかったり(これはイヤだった…)ワガママ(まあ子供らしいカワイイもんなんだが)だったりなクソガキが好きになれず、……何となく不愉快な気分になって終わってしまった↓ 何だこのモヤモヤ感は。
何かこう、金持ち野郎が妻の他界を理由にだらだらとフヌケくさりやがった挙げ句、ほかのひとに譲っちゃって〜♪ みたいにお気楽に考えてるのも何だか鬱陶しい。
それにしてもヒロイン地味。働く女性だし、子供も居るんだし、ヘンに若々しいのも妙だけど。華が感じられない分、物足りなさと説得力の無さを感じてしまってダメだった。

総評。ちょっとハズレ。何がどう、ということはないんだけど(巻頭だけは別。あれはもう絵で萎えた。綺麗・華麗でお上手だけれど説得力と物語や舞台背景等の説得力皆無)。橋本さんの作品は相変わらず好きだし楽しんだっちゃ楽しんだけど。うーん?

来月は小林博美さん、森素子さん、中村地里さん、稜敦水さん。……う、うん。まあ。うん。楽しみにしていよう。森さんは初登場だな、そういえば。
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