拠火園雑録

緑ノ指デ、描ク庭。

泣ける理由は痛みだけじゃない。

手術当日。何の緊迫感もないままに手術室に向かう。
要は、出来てしまった悪い部分、を切除する、だけ、といえば「だけ」なので、手術そのものはそれほど時間はかからなかった(勿論、出来た場所がヤバかったり、進行しまくっていたりすれば、より面倒な手術になってはいたんだけれど、幸いそこまでではなかった)。

怖かったのは麻酔。……副作用あるとかさんざっぱらネットだとかで読んでしまったので、どうなることかと(おまけに、母が麻酔に負け易いのを知っているので尚更)。それと、なかなかポイントが定まらず、針は刺さってるし何やら薬品も流れ込んでるのは判るのに「うーん、入らないなー。あともう少しなんだけどなー」と医者がぶつぶつ言うのには参った。いやいやいやいや、痛いから。先生、入りにくいの判るけど、何回もぶすぶす刺されたら痛いから!

そんな訳で、麻酔効いてるから手術中は痛みを一切感じなかったけれど、事前の麻酔で苦しんだ、と。

勿論、麻酔が切れてからは傷の痛みでもんどり打っていたんだが。病巣部が思っていたより大きかったのと、そこそこその切開してえぐり取った部分が深かったんで、痛む痛む。個室に居たのをいいことに「痛み止めがもらえるのは(夜の)9時。あと30分我慢すれば看護師さんが来る!」と思って呻っていたら、向かいの病室の患者さんに気づかれて「すぐナース・コールして呼んだ方がいいよ〜」と言われてしまった。ちょうど痛みMAXって時で、ふいに涙まで零れてくる始末。
「痛さで泣いたんだって?」と後に言われたのだけれど、ちょっとだけ違う。痛みも勿論泣けるんだけど(永遠に続くのか、と思う程痛い)、ひとりだしあれこれ考え込んじゃって「何だってこんな目に遭わないといけないんだ」とか思ってたら情けなくなって泣けた、のだ。

で。メス入れたからってのもあるだろうけど熱にやや浮かされつつ、気晴らしというか痛みから意識を逸らすためにTVをつける。

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オーランド・ブルーム キャメロン・クロウ キルスティン・ダンスト
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途中から観た。映画館で予告は観たことがあって、「父親が亡くなったことを切欠に、生まれ故郷に戻るハナシ」くらいの知識ならある(厳密にはもう少し色々あって故郷に戻る、のだけれど)状態で、痛みと格闘しつつぼんやり眺める。

父親の死、自身の仕事上の大きなミス+失業、と落ち込むしかないシチュエイションに陥った主人公と、彼に手を差し伸べるちょっと不思議なヒロイン。
彼と、彼の父親を取り巻く面々が、それぞれに個性的なんだけど突出する訳でもなく、南部の田舎町にはありそうだなあ、などと知りもしない私に思わせてくれる、何処か暢気な空気。同時に流れる、親しいひとの不在を悼む気持が伝わってくるのがいい。明るく送る葬儀、も、妙に切ない気分になった。

父の遺体を火葬にし、その灰の入った骨壺と共に車で走り続ける主人公。哀しみにあたたかい感情が添えられていて、悲しいシーンでもないのにちょっと泣ける。
ヒロインによってつくられた旅の案内用アルバム(?)とBGM集が本気で欲しくなった。あれ、リアルにつくってたらどんだけ時間かかるんだか!(詳しくは本編を御覧下さい。きっちり観てないので明確には判らないんだけど、主人公の青年が父の遺骨を撒くために、各地を巡るのだけれど、その行程等を地図や風俗等様々なコラアジュ等によってスクラップ・ブック仕立てにしたものをヒロインがつくってあげている。要所要所でポケットがあって、中にはCDが入っており、それもヒロインが色々な曲をチョイスして収めたオリジナルだった)
思っていたより楽しめたし、劇場公開時にちょっと「観たいなー」と思ってもいたので思いがけず観られてらっきー。でもやっぱり痛いよ……(涙)。

痛み止めの薬、効かねー効かねー↓ 朝までかけて3錠飲んでようやく眠れた……けど、当然7時までには起床を促される。
切っただけでも痛いんだから、患部をえぐり取ったらそりゃもっと痛いよな……と当たり前のことを噛み締めるのであった。
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