冷めぬ熱、覚めぬ夢。

新鮮味はないけどね。1

月刊 HQ comic 2008年 03月号 [雑誌]
B0012ORILC

とうとう「本家」がハーレクイン作品のコミカライズばかりを掲載する雑誌を創刊。創刊号には原作小説の別冊付録が付いてくるということでおめおめと買ってしまったのでありますが。

端的に言えば、これと言って「新鮮味」というものは無い、かと。

既に「宙出版」から月刊誌(及び別冊、増刊、描き下ろしコミックス)が発行されて久しく、売れることが明確になってからのリスキィさの無い2匹目の鰌狙いなびずねすなので、そんなものがある筈も無いと言えば無いのだけれど。
ただ、表紙だけは格段におされなカンジ。藤田和子サマがデカデカと、堂々と表紙を華麗に飾っていらして、以前からのファンである私にはたまらんものがある(氷室冴子女史と組んだ「ライジング!」は名作だった)。大変華やか。ちなみに、実はこの表紙は少し凝っていて、織り込まれている部分を開くと見開きポスタア感覚の絵になっていることが判るつくり。いやあ、やっぱり手塗りのカラーはいいなあVv

次の号も購入するかはまだ迷っているので、タイトルは多分この場限り。続けて買うようならタイトルチェンジするかもしれないです。
ではレビュウ行ってみる。

誘惑のルール
アマンダ ブラウニング Amanda Browning 竹中 町子
4596002029


コミカライズ担当:藤田和子(巻頭カラー/描き下ろし)

親友が報道によって傷つけられ、義憤にかられて新聞社に乗り込んだヒロイン。記者の元に赴くとだらしない姿で座っている。言いたいことを行って去り、それで終わった筈だったのに、実は自分が苦情を申し立てたのは別人だった。それ以来、その男に見初められてしまったヒロインは言い寄られる内に彼に惹かれてゆく。ただ、彼女には受け容れられない「理由」があって……。

読んでる間も読み終えた後も、何だかとても爽やかかつハートが周囲に飛び交っちゃうよな気分であった。いいなあ。少女まんが的どきどき感とHQのどきどき感がマッチしていて、不快感一切ナシ! ヒーローが強引ではあっても傲慢ではなく、ほぼ一目惚れで最初から最後までヒロインにアタックしまくり振り向かせる・情熱的ではあっても紳士、というのが私にとってはツボだった。クソ野郎嫌いなんだもー。
絵も美しかったVv 何しろ線がやわらかくて。野郎が格好良くてヒロインは美人。ああいいねえ、少女まんがだよねえ、とにまにましてしまう。重さもあるけれど、うまく描いてあって、限られた頁数でそつなくまとめていらしたなあ、という印象。
ただ、タイトルが雰囲気系(内容に則しているのかいないのか今ひとつぴんとこないタイプ)で、「何でこんなタイトルなのかな」と思ってしまった。「ルール」に引っかかりを感じるんだよなあ。

華やかな嘘 (ハーレクイン・イマージュ 1893)
バーバラ・マクマーン 大森 みち花
4596218935

華やかな嘘


コミカライズ担当:宮花みん(カラー有り/描き下ろし)

警備担当者のヒロインがあるアラブの貴公子との写真を撮られ新聞に掲載されてしまう。本当に彼と交際があるのは彼女の親友。しかし、そうとは知らぬ貴公子の祖父は別れさせるための「刺客」を放つ。ヒロインに近づくも、想像していたような金目当ての女には思えず当惑するヒーロー。互いの想いと思惑とを知らぬままふたりの関係が深まってゆく。

宮花さんは宙出版の「別冊」でオリジナルのショート・コミックが掲載されたのを読んでいて、てっきりいずれ「HQCM(このブログでのみの略称。はーれくいん・こみっく・まがじん、の意で「宙出版」から発行されているものを示す)」本誌か増刊、はたまた描き下ろしコミックス辺りでお目見えか、と思っていたのに。いや、嬉しいんだけど、HQ社サイドの無節操さに吃驚だ。
さてコミカライズ。ややヒロインもヒーローも幼いというか可愛らしい絵柄で描写されているのがちょっとだけ気になるものの、丁寧に取り組んでくれてるなあと思わせてくれて楽しめた。
所謂「シークもの」の系譜なんだけど、珍しく砂漠というアウェイに拉致監禁しないパタアン(大抵は連れ去ったり、ヒロインがアウェイに乗り込んだ時に出くわす)。
思惑故に終始ヒロインに対して誠実に振る舞っていたためか、極端な嫌悪感が湧かなくて助かった。ヒロインがとても好感の持てるタイプだったこと、親友との関係がまた素敵だったのとで楽しんで読めた。

ラストシーンは熱く(下記短篇集に収録)
ジャッキー・メリット
カンヌの誘惑 (ハーレクイン・プレゼンツ・スペシャル 45)
フィオナ・フッド・スチュアート 山野 紗織
4596800456


コミカライズ担当:三浦浩子(カラー無し/描き下ろし/前編)

若い時の「奇行」やアクシデントをスキャンダラスにかき立てられたために、結局本当に愛していた男性とも別れてしまうこといになったヒロイン。女優として実績を積み研鑽し、ある役を熱烈に得たいと願い応募するも過去故に軽んじられる。その作品の監督を務めるのがかつての恋人になったことを知り、一度はやめようとするものの、改めてトライ。自分は変わったのだ、真剣に取り組んでいるが故にオーディションだけでも受けさせて欲しいと願うものの交わされてしまう。でも、どうしてもその役が欲しい。
男は3年前別れた恋人に再会し、苦い思いを飲み下す。彼女を嘲ることで自分を誤魔化そうとするもののうまくいかない。おまけに、今取り組んでいる作品を最後に政界進出を考えている彼にはスキャンダルにまみれた彼女との接触は命取り。
それでも、互いの間に飛び散る火花が否定出来ない。すれ違いと誤解のはざまでふたりの想いはどうなってゆくのか?

元々が短篇なのに前後編……。読み切り形式に慣れてしまっているので、どうも消化不良というか「とっとと結末まで読ませろよ!」とイライラ。いや、作品そのものは面白いと思うんだけど。
新刊を買っても「既刊をまだ読んでないから!」とか理由をつけて読まないのに、コレは読んでいた。……ヒロインの名前が「テンペスト」ってのが印象的過ぎたので。自分の娘に「嵐」とかつけちゃう親はやっぱり何となく「あーあ」な親だったが(笑)。
誤解を受け続けてきたヒロイン(もっとも、受けるようなこともしていたらしい)がそれでも気丈に奮闘する様と、自分に素直になれず彼女を嘲ることで自分を保とうとする男の弱さがイイカンジ。三浦さんが描くと、ホットな作品でも絵が上品なのでゲンナリせずに読める。
後半どう処理するのかなあという部分は確かに気になるものの、やはりさくっと全部読みたかった。

以下次回へ。
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