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プロポーズは禁止
ヴィッキー・L.トンプソン
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これ、HQで言うところの「ミニ・シリーズ」ってヤツなんだけど。これが出る2年前に2冊連続で「恋人はメールオーダーで」というミニ・シリィズがありまして(この2年、というブランクがまたオソロシイ。もしこの2年後の1冊を読んだひとが、先行して発行された既刊2冊を読んでみたいと思ったとしても、オークションや古本屋等で探して手に入れるしかないのだ)。
交際相手を募る男性が自分の写真や広告を掲載できる「テキサス・メン」という雑誌があって、それを見た女性がコンタクトを取ると、文通なりメエル交換なり交際なりが始められる…というのが基本設定。で、ヒロインが何らかの理由でその雑誌からある男性を選んで出逢いがあって…まあなんやかやあるわけですね(笑)。
で、もうすでにかなり前にその既刊2作を読んで、その当時確か「結構面白いかも」と思った記憶があった。しかもシリィズものはコンプがお約束なので当然購入。そんで、もうさらに数年経過してるわけだけど、ようやく手にとって。それなりに期待しつつ読んでみたんだけど。

……何だかものすごく疲れた……。

ヒロインは美しい、とか綺麗、とか形容されるより、可愛い、とか妹みたいだ、とか男性から言われるタイプで、アウトドア大好き健康的な女性。でも、いい加減男性からいいオトモダチ扱いされるのにウンザリ。せくちーVな女として意識してほしい、私だってオンナなのよー!! とブッチ切れ。で、「テキサス・メン」で男性を捜すことにする。いきなり会って、とか誰かからの紹介で、とかだと結局最初の印象で「いいオトモダチ止まり」になってしまう、でも文通でなら直接会う前に手紙で色々相手の好みだとかを知ることができて、……しかも、大胆な自分になれる、そう思うわけですな。はっきり言うと、「オトモダチで居るんじゃなく、ベッドに行ってあんなこととかそんなこととかしたいのよ、私だって!!」と(うなだれる私)。
ここでまず軽く度肝を抜かれる。……何もそこまでセックスにこだわらなくても……(いや、大事なことだけども。まあそもそも「テンプテーション」というレエベルではあるのだが)。
翻ってこの物語のヒーロー。コイツがまたどうしようもない。すでに結婚式当日に花嫁に破談を申し入れること5回、という鉄板の大馬鹿。とにかく寝たら「この女性だ! 彼女こそがぼくの妻になるひとだー!!」と思い込み、ベッドをともにしたあと速攻でプロポオズ。……しておきながら、いざ結婚、となると、それまでに相手のアラだのイヤなとことが見えてきて、突然結婚することがイヤになってしまう、という「馬鹿」としか言いようのない男。……セックス=結婚、て、そりゃまあちょいと古風な考え方で「関係を持ってしまったのだから責任取って結婚しましょー」てえのもあるわけだし、別段極端にオカシイわけではないんだが、……あまりに短絡的過ぎて「うわあ、コイツ馬鹿じゃん…!」としか思えない。どんなヒーローだよ!!
ドラマで、「結婚を決めたものの、相手の些細な欠点がとんでもなくイヤに思えて破談を申し出る」女性、てのは何度か観た。「アナタ、食事のあと、必ず爪楊枝で歯を掃除するでしょ。アレ、すっごくイヤなの!」とかそれまでもそうであったであろう相手のクセなんかがとてもとてもイヤなものに思えて、それに毎日「耐えて」生活するのか、と思ったら結婚なんてとんでもないものに思えて…というヤツ。それはよく観たけど、……野郎でそのパタアンかよ……鬱陶しいなあ……。

この時点ですでに半ばこの物語を読む読者としてはアウト(笑)。

3ヶ月間文通を続ける2人。ヒロインはやたらと相手を刺激するようなことを書いて挑発し、いかに自分がせくちー♪なオンナであるかをあっぴーる。男は「今度こそは!」と慎重になってはいるものの、基本的には「そっこー寝て、プロポオズするんだーVv だって彼女はこれまでの女性たちとは違って、手紙のやり取りでお互いを十分理解したし、ぼくも真剣なんだもーん」とノリノリ(死語)。……鉄板の馬鹿同士に見えるのは私の気のせいだ、うんそうだ。

で。ヒーローはこれまで結婚式で必ず付き添いを務めてきてくれた親友に、ヒロインは妹があまりに「セクシィな自分」を演出したがり(読者の私から見ても「アンタ娼婦じゃないんだからさあ」とウンザリしちゃうようなドレスを選ぶ)、先走りまくってるのを制しようとする姉に付き添われてのダブル・デエトから始まる。
「今日は相手と寝るなよ!」と釘を刺すヒーローの親友。まったくだ。しかし。このバカップルは心配する姉や親友をまいてホテルに飛び込み、その場であんなこととかそんなこととかしてしまうのであった。

何だこのさかりのついたヤツらは!!

しかし、ヒーローが新たな「餌食」を見つけたことを知った元カノたちが結成したグループにより、事実を告げられて当惑するヒロイン。そんなことはまったく知らず、ひたすら彼女との結婚を夢見、いつ彼女にこれまでのことを話すべきかを逡巡するヒーロー。
ヒロインはヒーローをこれまでの女性たちが振られた経緯を元にある試練を架して、どういう態度に出るのか、本当に自分も捨てられてしまうのかを試すことに。……そこでも結局、……やっちゃうのね……。しかも、避妊ナシで(はぁ!?)。
「ぼくたちは結婚するんだから。君は子供が欲しいって言ってたよね」とかなんとかヌカして。この野郎、誰かぶっ飛ばしてくれ↓
自分がしかけた数々の「罠」や「試練」に黙々と耐えてくれたために、情に絆されたかおっけーしてしまうヒロイン。こいつもついでにぶっ飛ばしてくれーっ。

最後すったもんだの挙げ句、めでたく結婚(まあ、HQですし)。それにしてもまあなんというか、……呆れ返る話だった……。コメディとして楽しめなくもないんだけど、どうにも主人公たちが短絡的で、ヤリたいだけ(下品で失礼)のオシアワセなひとたちにしか見えず、……。

「テンプテーション」って、HQの中では、女性のセクシュアルなファンタシィを物語に仕立ててある印象が強いレエベルで、同じくセクシィ路線の「ディザイア」とはまたテイストが違う。「ディザイア」は何て言うんだろう、どうしようもない「衝動」に抗えずにセンシュアルな方向に行くんだけど、テンプは「衝動」を自らカタチにすべく奮闘(笑)する、というカンジ。だから、無駄にエロかったりしてたまにウンザリするんだけど、いい作家もそれなりに多い…んだが近年質が落ちてきた、ともっぱらの評判。うん、確かにそうかもしれない……(涙)。
私はあまりテンプ作品を持ってない(故に読んでない)から、誤解してるというか、「良さ」がわからないのかもしれないんだけど。

今回のは2番目に「読まなくてもよかったよ…」と思ってしまった。前に「これじゃタダのぽるのじゃん!」と怒り狂うほど「してる」シーンしかない、てのがあったけど(もうね、豊田○二かよ! と思うほどに! いや、北沢○也でもいいんだが! ←何で知ってるんだよ)、この話が2番手に鎮座ましましてよ。
  
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