止まり木を求めて渡る。
2006-05-12 Fri 23:14
酒場歳時記
吉田 類
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気づけば父がよくTVで彼の番組を見ている。また、放映時間はどないなっとんねん、といつもいつもツッコミを入れたくなるほど、時間帯、というものを問わずに放映されている。朝だろうが夜だろうが。関係なく、というカンジである。
多分、コレ↓だと思うのだけれど。

「吉田類の酒場放浪記」

番組のHP(上の番組名クリックで行けます)で確認したら、朝の放映が通常の時間帯で、再放送を夕方6時台にやっている模様。でも、気づけば父が見ていて、夜も朝も曜日も関係なく何時もやっている、という感覚がある。


吉田氏がただひたすらに立ち飲みの店や居酒屋、酒場(このコトバがもっともしっくりくるかもしれない)を巡り、酒を飲み、つまみを食べ、其処に居合わせた客や店主と何と言うほどのこともない会話を交わす。それだけ、と言えばそれだけ、の番組なのであるが。
これがたいそう面白いのであった。
飾らず気取らず格式張らず、ふらりと入って適度に楽しんでふらりと去る。店の親父が少々気むずかしそうに見えると「ちょっと怖そうだなあ」などと言いつつも入ってゆき、その店なりの空気を彼なりのペエスで楽しんで帰る。
酒に溺れることもなく、淡々と美味さを味わい、アテを見繕ってもらっては食べ(大袈裟さがなく淡々と食べるのだが実に美味そうに見える)、かといって「紳士的」などというキザったらしいコトバで表すのは「もったいない」、格好いいおっちゃん。
飄々としていて、気さくではあるけれど、心地よい距離感を保って交流しているように見えるのもいい。

本来酒飲み……というか、飲まれてしまうヒトがどうにもニガテで、それ故に酒を飲むひとが漠然とニガテなのだが、彼に限って言えばそういうニガテ意識すら抱かない。とにかくひたすら羨ましく、見ていてキモチがいい。桝に入れられた素っ気ないコップ(グラス、ではない)に表面張力で零れ出さんばかりに注ぐんもんなんじゃ! と言いたげな酒。焼きたての焼き鳥に新鮮な刺身、その店でしか食べられないあれやこれ。
口に入れた瞬間「おいしい」を連呼するだけのグルメ番組なんぞ観る気にもならないが、彼のこの番組はついつい見入ってしまう。こぢゃれたフレンチやイタリアンのレストランだのぬーべるしのわだってそりゃ美味そうだし行ってみたいけど、この愛すべき「下町」の風情ありまくるこぢんまりした店、こっちに断然行ってみたい気になってしまう(「タモリ倶楽部」で井筒カントクやなぎら健壱氏がレギュラア状態で登場する、飲んで食うだけの企画が大好きな私が夢中にならぬ筈もなかった・笑。「タモリ…」でも、タモさんがひたすら手際よく、どこにでもある材料で簡単かつウマーなつまみをつくっては皆で飲んで食う、というその姿を映しているだけなのだが、妙に面白いのだ。タモさんがマジモードに突入する時と、居酒屋店主を演じる小芝居モード突入時、どちらも楽しい。つーか食わせてくれ、そのつまみを!!)。
常連らしき客や店主に阿ることはないけれども気づけば彼等に馴染み、けれどもそれなりの距離を持って会話する。うう、出来そうで出来ない(私には)。

ひとりで(といっても撮影スタッフ一緒だけど)ふらりと行って適度に飲み食いしてふらりと次の店へ。飲んだくれはニガテな筈なのに。ああ筈なのに筈なのに。「飲んだくれ」というのともまた違うか。まさに「酒場」を「放浪」してる。止まり木を求めてするすると。

「飲む」ことを楽しんでいる姿が観るのが楽しい。個人的に稀有な存在の番組にして人物。著作も好評なようなので、いつか読んでみたい(って、そりゃ何時になるワケよ?)。
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