今月のHQCM。5
2006'07'23(Sun)23:01
ハーレクイン 2006年 09月号 [雑誌]

今月はどの作品もそれぞれにそれなりに楽しめた……のだけれど、ある一本のためにちょっとダイナシになってしまった。それが残念。
悲しき令嬢―秘められた思い
バーバラ マコーリィ Barbara McCauley 小林 葉月

コミカライズ担当:夏よしみ(巻頭カラー/描き下ろし)
よりによって私が初めて読んで、好きだと思っている作家さんの、好きなシリィズのスピン・オフ作品でやらかしてくれるとは……! もう、折角楽しんで読んでた気分が萎えまくってしょうがなかった。
結婚を控えたヒロイン。そこに突然謎の男が現れ、私立探偵だと名乗る。胡散臭いと思いつつ、用件を尋ねると、何と自分は両親の子供ではなく、カネで買われた子供であり、しかも兄弟が2人居て自分に会いたがっている、と言うのだ。衝撃を受けるヒロイン。しかも婚約者は自分を裏切っていた、と式当日に知る。どうせなら事実と向かい合ってから、新たな一歩を踏み出したい。そう思ったヒロインは探偵と共に兄弟に会うことを決意する。
……物語そのものは、まあ、いいや。多少アレンジされていても(というか、夏さんはかなりアレンジしてしまうことが多い。原作読むとあまりの違いに吃驚する。でもって、実はこの作品所有してはいるけれどまだちゃんと読んでいないのだ↓)物語として楽しめなくはなかった。
何が問題って、作画! これが酷い。ふだんのクオリティを基準にするとあり得ないレヴェル。
彼女は髪の毛一筋までも丁寧に描写する方なのだが、今回は何が起きたものか知らないけれど、途中からどんどんその線が荒れてゆくのだ。ふだんが丁寧かつ繊細な線なので余計に判ってしまう。終盤に行くに従って貼るべき所にトーンが貼ってない・髪の毛の描写が下絵レヴェル、背景ほとんどナシ、描線全体的に荒れまくり、と手抜きにしか見えない状態。これまで一度もそんなことが無かっただけに何だかショックだった。本当に酷い。ラスト数ペエジは殴り描きか、下絵もナシ、アタリ付けただけの所にイッパツ描きでもしたのか、な絵に見える。
別冊で下絵で掲載した作家も居て、それはプロとしてどうなんだ、と思っていた矢先のことだけに尚更吃驚(それも「本誌」で!!)。しかも、夏さんはHQ以外での執筆はほとんど無いような状態(あったらごめんなさい、ですが)。スケジュウルとしても余裕を持って発注されているものだと思いたいし、プロで、すでにどれくらいのペエスで描けばいいかも慣れたものと思うし。
そういう訳で、途中までがプロの仕事、終盤は「投げた」と言われてもしょうがない状態で幻滅することしきりだった。コミックスでは改善・手直しがなされていることを祈るばかり。ファンへの裏切りだ、あの絵は!
愛の異邦人
ヘレン・ブルックス 槙 由子


コミカライズ担当:橋本多佳子(カラー有/描き下ろし)
何らの不安も抱かせない、安定した出来♪ 次号予告に彼女の予告カットが掲載されるともう期待しかない(ハズレっぽい時は原作そのものがちょっと「うーん?」な時だ、と決めつけるくらい好き・笑)。
ギリシア人男性と結婚した妹が夫に先立たれ子供とふたりきりに。迷った末に夫の家族に手紙を出すと「息子(妹の夫の両親から見れば孫、の方ね)に会わせて欲しい」との返事。ヒロインである姉と3人でギリシアに向かうと、魅力的な男性に出迎えられ、それが亡くなった男の弟であることがわかる。
亡くなった夫が実は富豪の息子だったことを知る妹とその子供、そしてヒロイン。生前ギリシアの家族と仲違いをしていた謎も解け、とりあえずは歓迎される。問題はヒロイン。迎えに来た義弟の弟に惹かれている自分に気づく。でも、死んだ母親があっさりと夫に捨てられたという過去から逃れられず、素直になれない。
ヒロインとその妹は双子という設定で、清楚で穏やかな妹、キャリア・ウーマンで凛とした雰囲気の姉、なのだけれど、「姿形こそ似ているけれどそれぞれに個性がある」ことが絵でちゃんと判るのだけれど、ヒロインの側がやや大人っぽくきりりとしていてメイクも鮮やかなカンジで描かれていて、そのヒロイン像、ふだんならヒロインの敵役・ライバルキャラで登場しそうでもあるのに、ちゃんとそうなってなくて関心してしまった(キャリアのあるまんが家さんには失礼な言い方だけど)。
ギリシアの雰囲気、ヒーローのわいるどな魅力に加えて、本当はとても繊細で臆病な一面もあるヒロインが可憐で可愛かったのと同時に美しかった。ヒーローが(ギリシア人にしては・笑)珍しく誠実で真っ直ぐな所も好感度大(これが別な作家原作のギリシア人ヒーローだったらまずぶん殴りたいくらい尊大で傲慢だ↓)。楽しめましたVv
偶然の花嫁
ダーシー・マグワイア 中尾 千奈美

コミカライズ担当:宮本果林(カラー有/描き下ろし)
正直何で「偶然の花嫁」なんつータイトルなのかまったく! 理解出来なかった。原作とどこか変えてあるか削った部分でもあるんだろうか。
相変わらずの宮本さんテイスト炸裂で、……あー、目がチカチカする↓ 女性キャラのみならまだしも、何だって野郎まで宝塚なみにキラキラしいのであろうか……。
妹を妊娠させた最低男に会い、必ず妹と結婚させてやる! とその男と出会えるチャンスを得、ようやく接触するもののあまりに魅力的でどぎまぎしてしまう。実は男は現在ヒロインの勤める会社の買収に関わっており、彼女の素性を知るやどういう目的で近づいてきたのかと訝しむ。互いの素性を明らかにしないままゲエムを進めるように関係を深めてゆくふたり。ヒロインは彼に恋してしまったことに気づくものの、男は妹を妊娠させておきながら連絡すら取らずにいるような男でもあるのだ。ところが、――
……ええと。こうやってあらすじまとめてみても、何処がどう「偶然の花嫁」なんつータイトルになるんだかはてサッパリ。ヒロインがキャリア・ウーマンどころか会社の共同経営者ですらあるというやり手で、その辺りをファッション等で珍しく表せていたかなー、と。個人対個人の問題と会社対会社という複雑さもほどよくクリア。絵的にはいつものきらきら感ばりばりちうカンジで、それさえ流せば比較的フツーに読める。でもヒーローが突然近づいてきた彼女の素性を知るために、わざとバッグを落とさせて携帯を盗む(すぐ手段を講じて返すけど)てのはどーなんだ。お前犯罪だろ、それは、といらぬ所で何となくムカついてしまった。何かイヤだなー。まだ探偵雇って素行調査、のがマシだ。おまけに、ヒロインの妹がいーカンジにアホウで呆れてしまった↓ ヒロインが何だか気の毒だ……。そういう意味では何だか疲れるハナシであった。ふー。
ボスには言えない
キャロル・グレイス 緒川 さら

コミカライズ担当:くればやし月子(カラー有/描き下ろし)
どうやらかなり原作を改変した模様。これはこれでまとまってはいたと思うんだけれど、元々の物語のことを思うと、ちょっとだけ微妙。
社長には魅力を感じているし、実を言えば恋もしている。だからこそGFとのデエトの手配だの彼にまとわりつく女をあしらう真似事まですることにウンザリ。新しい秘書の手配もしたことだし退職しよう。そう思っていたのに社長ときたら「君は仕事をする上で最高のパートナー。失いたくない。だから結婚しよう」と呆れたセリフが。しかし元々嫌いなどではないために振り払ってしまえない。諦めず自分に迫ってくる彼と結ばれてしまうものの、結局自分のことを愛している訳ではないと知って彼の元を去ることにしたけれど妊娠していることがわかってしまい去ることも出来なくなってしまう。
どうも原作ではパーティで少々ハメを外した、というかお互いに惹かれ合ってベッドを共にした、と(少なくともヒロインは)思っていたのに、男の側はあくまでも今まで通りの関係を保つことしか考えておらずヒロイン失望、去ろうとした時に妊娠が……というハナシだった模様。その辺りを削って自分なりにアレンジした、のであろーか(原作のが突然仕事辞めようと決意した理由としては説得力あるものでね。まあ確かに秘書に自分が遊んでる女のアレコレまで任せっ放しというだらしなさもキモチワルイけど)。
とりあえず自分のカナシ〜〜イ/ツラ〜〜〜イ過去に囚われ過ぎて、ヒロインの心情よりそっち優先の気の毒な馬鹿男がヒーローという話、多いんだな、意外と。ヒロインが過去に囚われて……のパタアンはモノにも因るけど結構好きというかヒロイン頑張れ乗り越えろ! なキモチになるのに、野郎だと「ケッ、テメエだけが不幸かよ!」と苛立つ私(笑)。終始朴念仁だったどんくさいドアホウだったけれど、終盤に近づくにつれてヒロインを思いやれるよーになったので許す(←お前ナニサマだ)。
という訳で、今月号は概ね楽しめたものの、夏さんの作品のあまりな出来に幻滅の度合い高し。
来月は星合操さん、篠崎佳久子さん、中村地里さん、伊勢崎とわさん、というラインナップ。……あのひととかあの方とかビミョーやな↓ 篠崎さんの作品に期待♪

今月はどの作品もそれぞれにそれなりに楽しめた……のだけれど、ある一本のためにちょっとダイナシになってしまった。それが残念。
悲しき令嬢―秘められた思い
バーバラ マコーリィ Barbara McCauley 小林 葉月

コミカライズ担当:夏よしみ(巻頭カラー/描き下ろし)
よりによって私が初めて読んで、好きだと思っている作家さんの、好きなシリィズのスピン・オフ作品でやらかしてくれるとは……! もう、折角楽しんで読んでた気分が萎えまくってしょうがなかった。
結婚を控えたヒロイン。そこに突然謎の男が現れ、私立探偵だと名乗る。胡散臭いと思いつつ、用件を尋ねると、何と自分は両親の子供ではなく、カネで買われた子供であり、しかも兄弟が2人居て自分に会いたがっている、と言うのだ。衝撃を受けるヒロイン。しかも婚約者は自分を裏切っていた、と式当日に知る。どうせなら事実と向かい合ってから、新たな一歩を踏み出したい。そう思ったヒロインは探偵と共に兄弟に会うことを決意する。
……物語そのものは、まあ、いいや。多少アレンジされていても(というか、夏さんはかなりアレンジしてしまうことが多い。原作読むとあまりの違いに吃驚する。でもって、実はこの作品所有してはいるけれどまだちゃんと読んでいないのだ↓)物語として楽しめなくはなかった。
何が問題って、作画! これが酷い。ふだんのクオリティを基準にするとあり得ないレヴェル。
彼女は髪の毛一筋までも丁寧に描写する方なのだが、今回は何が起きたものか知らないけれど、途中からどんどんその線が荒れてゆくのだ。ふだんが丁寧かつ繊細な線なので余計に判ってしまう。終盤に行くに従って貼るべき所にトーンが貼ってない・髪の毛の描写が下絵レヴェル、背景ほとんどナシ、描線全体的に荒れまくり、と手抜きにしか見えない状態。これまで一度もそんなことが無かっただけに何だかショックだった。本当に酷い。ラスト数ペエジは殴り描きか、下絵もナシ、アタリ付けただけの所にイッパツ描きでもしたのか、な絵に見える。
別冊で下絵で掲載した作家も居て、それはプロとしてどうなんだ、と思っていた矢先のことだけに尚更吃驚(それも「本誌」で!!)。しかも、夏さんはHQ以外での執筆はほとんど無いような状態(あったらごめんなさい、ですが)。スケジュウルとしても余裕を持って発注されているものだと思いたいし、プロで、すでにどれくらいのペエスで描けばいいかも慣れたものと思うし。
そういう訳で、途中までがプロの仕事、終盤は「投げた」と言われてもしょうがない状態で幻滅することしきりだった。コミックスでは改善・手直しがなされていることを祈るばかり。ファンへの裏切りだ、あの絵は!
愛の異邦人
ヘレン・ブルックス 槙 由子


コミカライズ担当:橋本多佳子(カラー有/描き下ろし)
何らの不安も抱かせない、安定した出来♪ 次号予告に彼女の予告カットが掲載されるともう期待しかない(ハズレっぽい時は原作そのものがちょっと「うーん?」な時だ、と決めつけるくらい好き・笑)。
ギリシア人男性と結婚した妹が夫に先立たれ子供とふたりきりに。迷った末に夫の家族に手紙を出すと「息子(妹の夫の両親から見れば孫、の方ね)に会わせて欲しい」との返事。ヒロインである姉と3人でギリシアに向かうと、魅力的な男性に出迎えられ、それが亡くなった男の弟であることがわかる。
亡くなった夫が実は富豪の息子だったことを知る妹とその子供、そしてヒロイン。生前ギリシアの家族と仲違いをしていた謎も解け、とりあえずは歓迎される。問題はヒロイン。迎えに来た義弟の弟に惹かれている自分に気づく。でも、死んだ母親があっさりと夫に捨てられたという過去から逃れられず、素直になれない。
ヒロインとその妹は双子という設定で、清楚で穏やかな妹、キャリア・ウーマンで凛とした雰囲気の姉、なのだけれど、「姿形こそ似ているけれどそれぞれに個性がある」ことが絵でちゃんと判るのだけれど、ヒロインの側がやや大人っぽくきりりとしていてメイクも鮮やかなカンジで描かれていて、そのヒロイン像、ふだんならヒロインの敵役・ライバルキャラで登場しそうでもあるのに、ちゃんとそうなってなくて関心してしまった(キャリアのあるまんが家さんには失礼な言い方だけど)。
ギリシアの雰囲気、ヒーローのわいるどな魅力に加えて、本当はとても繊細で臆病な一面もあるヒロインが可憐で可愛かったのと同時に美しかった。ヒーローが(ギリシア人にしては・笑)珍しく誠実で真っ直ぐな所も好感度大(これが別な作家原作のギリシア人ヒーローだったらまずぶん殴りたいくらい尊大で傲慢だ↓)。楽しめましたVv
偶然の花嫁
ダーシー・マグワイア 中尾 千奈美

コミカライズ担当:宮本果林(カラー有/描き下ろし)
正直何で「偶然の花嫁」なんつータイトルなのかまったく! 理解出来なかった。原作とどこか変えてあるか削った部分でもあるんだろうか。
相変わらずの宮本さんテイスト炸裂で、……あー、目がチカチカする↓ 女性キャラのみならまだしも、何だって野郎まで宝塚なみにキラキラしいのであろうか……。
妹を妊娠させた最低男に会い、必ず妹と結婚させてやる! とその男と出会えるチャンスを得、ようやく接触するもののあまりに魅力的でどぎまぎしてしまう。実は男は現在ヒロインの勤める会社の買収に関わっており、彼女の素性を知るやどういう目的で近づいてきたのかと訝しむ。互いの素性を明らかにしないままゲエムを進めるように関係を深めてゆくふたり。ヒロインは彼に恋してしまったことに気づくものの、男は妹を妊娠させておきながら連絡すら取らずにいるような男でもあるのだ。ところが、――
……ええと。こうやってあらすじまとめてみても、何処がどう「偶然の花嫁」なんつータイトルになるんだかはてサッパリ。ヒロインがキャリア・ウーマンどころか会社の共同経営者ですらあるというやり手で、その辺りをファッション等で珍しく表せていたかなー、と。個人対個人の問題と会社対会社という複雑さもほどよくクリア。絵的にはいつものきらきら感ばりばりちうカンジで、それさえ流せば比較的フツーに読める。でもヒーローが突然近づいてきた彼女の素性を知るために、わざとバッグを落とさせて携帯を盗む(すぐ手段を講じて返すけど)てのはどーなんだ。お前犯罪だろ、それは、といらぬ所で何となくムカついてしまった。何かイヤだなー。まだ探偵雇って素行調査、のがマシだ。おまけに、ヒロインの妹がいーカンジにアホウで呆れてしまった↓ ヒロインが何だか気の毒だ……。そういう意味では何だか疲れるハナシであった。ふー。
ボスには言えない
キャロル・グレイス 緒川 さら

コミカライズ担当:くればやし月子(カラー有/描き下ろし)
どうやらかなり原作を改変した模様。これはこれでまとまってはいたと思うんだけれど、元々の物語のことを思うと、ちょっとだけ微妙。
社長には魅力を感じているし、実を言えば恋もしている。だからこそGFとのデエトの手配だの彼にまとわりつく女をあしらう真似事まですることにウンザリ。新しい秘書の手配もしたことだし退職しよう。そう思っていたのに社長ときたら「君は仕事をする上で最高のパートナー。失いたくない。だから結婚しよう」と呆れたセリフが。しかし元々嫌いなどではないために振り払ってしまえない。諦めず自分に迫ってくる彼と結ばれてしまうものの、結局自分のことを愛している訳ではないと知って彼の元を去ることにしたけれど妊娠していることがわかってしまい去ることも出来なくなってしまう。
どうも原作ではパーティで少々ハメを外した、というかお互いに惹かれ合ってベッドを共にした、と(少なくともヒロインは)思っていたのに、男の側はあくまでも今まで通りの関係を保つことしか考えておらずヒロイン失望、去ろうとした時に妊娠が……というハナシだった模様。その辺りを削って自分なりにアレンジした、のであろーか(原作のが突然仕事辞めようと決意した理由としては説得力あるものでね。まあ確かに秘書に自分が遊んでる女のアレコレまで任せっ放しというだらしなさもキモチワルイけど)。
とりあえず自分のカナシ〜〜イ/ツラ〜〜〜イ過去に囚われ過ぎて、ヒロインの心情よりそっち優先の気の毒な馬鹿男がヒーローという話、多いんだな、意外と。ヒロインが過去に囚われて……のパタアンはモノにも因るけど結構好きというかヒロイン頑張れ乗り越えろ! なキモチになるのに、野郎だと「ケッ、テメエだけが不幸かよ!」と苛立つ私(笑)。終始朴念仁だったどんくさいドアホウだったけれど、終盤に近づくにつれてヒロインを思いやれるよーになったので許す(←お前ナニサマだ)。
という訳で、今月号は概ね楽しめたものの、夏さんの作品のあまりな出来に幻滅の度合い高し。
来月は星合操さん、篠崎佳久子さん、中村地里さん、伊勢崎とわさん、というラインナップ。……あのひととかあの方とかビミョーやな↓ 篠崎さんの作品に期待♪