切迫感のある設定の筈なのに。
2006'08'18(Fri)00:04
いつわりの結婚式
アネット・ブロードリック 中川 礼子


……何となく不思議な読後感。定番中の定番、「便宜結婚」モノのストーリィなんだけど、ベタなHQの話の運びとちょっとだけ違ってる感じがして、何だか戸惑ってしまった。多分、冒頭の展開が妙に早いのと、そのために解説の部分が多いこと、それでいてヒロインとヒーローの関係性がちゃんとほのめかしてあるので、……その、まあ、何だ、「フツウの小説みたいだなあ」と思ってしまった、のだと思う。HQはあまりと言えばあまりにも様式美を重んじるというか、定型の美なので、判り切った流れに身を任せてするりんと読むのが常なのだ。多分妙な戸惑いはそのせいだろう。何だそりゃ↓
ヒロイン・ケイティはフォト・ジャーナリスト。中央ヨオロッパの小国ダルマティアに滞在し、リポオタアとして危険であることを察しながらも情報収集に努めている。そこに何故か突然現れたグレアム。彼は政府の機関で働いている人間で、この国に居る筈のない人物。それが突然「ホテルが占拠される前に逃げ出すんだ」と彼女を伴ってダルマティアを脱出しようとするではないか。
仕事は投げ出せないという彼女に「死にに来たわけではないだろう」とあくまでも出国・脱出を提案するグレアム。そこから彼等の逃避行が始まる。
ある村にどうにか逃げ込めたものの、内戦で混乱している今、相手を刺激したくないし無事に逃げおおせたい。そこで、グレアムは親切そうであり、かついきなりひとを殺害したりするようなことはないであろう神父に咄嗟にでまかせを言う。
「僕たちは結婚したいと思ってるんだ」。
彼等は互いに結婚というものに不信感を持っているため、「本当の」結婚などしたくない、と思っていた、筈だった。「別に本当に結婚したって、いいんじゃないか?」と自問し始めるグレアム。ケイティも結婚なんてするつもりないわよと言いつつ、彼に強く惹かれていることを否定出来ない。
神父の元で書類を提出し、結婚するふたり。それはその国でのみ有効であって、故郷・アメリカにおいてまで有効なものとは思っていなかった。あくまでも便宜上。どこまでのいつわり。
張りつめた環境の中、ふたりは結ばれそうになるものの、グレアムの理性によってどうにか何もない状態(……とも言い切れないか・笑)で過ごし、そのまま帰国後は別れてしまう。何をするにも手に付かないケイティの元に「夫が尋ねてきたと言ってくれ」と現れた男性が居ると言われて驚くケイティ。
「僕たちの婚姻は成立しているんだ」と言われ、さらに驚愕。さあ、どうなる、どうする!?
現代が舞台で、内戦等の混乱の中にあり、便宜上結婚することで助かろうとする物語はこれが私にとっては2作目。多分読んでないだけで結構あるだろう。で、一度破綻し、またくっつく、という元サヤモノにもなっちゃったりする。
この物語では、グレアムが彼女を捜し出し、「本当の結婚だった」と告白して彼女を説得しようとする。ケイティも彼を愛していると気づいて歩み寄ろうとした所に謎の女登場(お約束)。嫉妬にかられて自分に振り向かせようと奮闘するケイティ。さあこれで丸く収まる、と思っていた矢先にグレアムが任務のために……という展開。
そもそものレエベルが「シルエット」だったためか、ホット過ぎることなく、そのテの描写はやや控えめ(アネット・ブロードリックは現在ほぼ「ディザイア」というホットなレエベルで活躍中)。でもミョーに盛り上がりを見せる辺りはやはり彼女の作風はソッチなんだな、と再認識。
面白いとか面白くないじゃなくて、私はひたすら何だかあっけにとられていた気がする。
最初からどちらも相手に好意を抱いているけれど素直になれない、というのはどの物語にだって共通してるとも言えるのに、不思議な違和感があって。
設定と物語の展開の仕方(唐突に前フリも特別無く、渦中からの脱出劇→逃避行中のつかず離れずなふたりの間柄→帰国後別れるものの再会→お互いがお互いを想っていることが明白→謎の女登場で逆に盛り上がるふたりの関係→ヒーローが危機的状況に陥ってヒロイン自分の気持ち再確認→ごーる!)がそれほど破綻せず(いや、御都合主義とかそれは今更なので言っちゃいけない)するする〜っと規定のペエジ内に収まってて、でも何か強く残るものがあるようなないような、というファジィさが同居していて、……何だろう、これ(はっはっは)。
ヒーローが強引ではあるけれど誠実で忍耐強く、ヒロインが凛としていて責任感があって行動派、という気持ちのいいカップルではある。それぞれに葛藤もあるもののする必要、ある?? みたいな所もあって引っかかりがない、ような。駄作ではないけれど、良作とも言い切れない、ちょっと煮え切らない何かを残してくれた。ツッコミどころが無いというのか。何だろうなあ。
待て。そこまであーだこーた考える程ものごっつ重要な作品ではないだろ、お前にとって。
う、うん。それもそっか(自己完結)。
アネット・ブロードリック 中川 礼子


……何となく不思議な読後感。定番中の定番、「便宜結婚」モノのストーリィなんだけど、ベタなHQの話の運びとちょっとだけ違ってる感じがして、何だか戸惑ってしまった。多分、冒頭の展開が妙に早いのと、そのために解説の部分が多いこと、それでいてヒロインとヒーローの関係性がちゃんとほのめかしてあるので、……その、まあ、何だ、「フツウの小説みたいだなあ」と思ってしまった、のだと思う。HQはあまりと言えばあまりにも様式美を重んじるというか、定型の美なので、判り切った流れに身を任せてするりんと読むのが常なのだ。多分妙な戸惑いはそのせいだろう。何だそりゃ↓
ヒロイン・ケイティはフォト・ジャーナリスト。中央ヨオロッパの小国ダルマティアに滞在し、リポオタアとして危険であることを察しながらも情報収集に努めている。そこに何故か突然現れたグレアム。彼は政府の機関で働いている人間で、この国に居る筈のない人物。それが突然「ホテルが占拠される前に逃げ出すんだ」と彼女を伴ってダルマティアを脱出しようとするではないか。
仕事は投げ出せないという彼女に「死にに来たわけではないだろう」とあくまでも出国・脱出を提案するグレアム。そこから彼等の逃避行が始まる。
ある村にどうにか逃げ込めたものの、内戦で混乱している今、相手を刺激したくないし無事に逃げおおせたい。そこで、グレアムは親切そうであり、かついきなりひとを殺害したりするようなことはないであろう神父に咄嗟にでまかせを言う。
「僕たちは結婚したいと思ってるんだ」。
彼等は互いに結婚というものに不信感を持っているため、「本当の」結婚などしたくない、と思っていた、筈だった。「別に本当に結婚したって、いいんじゃないか?」と自問し始めるグレアム。ケイティも結婚なんてするつもりないわよと言いつつ、彼に強く惹かれていることを否定出来ない。
神父の元で書類を提出し、結婚するふたり。それはその国でのみ有効であって、故郷・アメリカにおいてまで有効なものとは思っていなかった。あくまでも便宜上。どこまでのいつわり。
張りつめた環境の中、ふたりは結ばれそうになるものの、グレアムの理性によってどうにか何もない状態(……とも言い切れないか・笑)で過ごし、そのまま帰国後は別れてしまう。何をするにも手に付かないケイティの元に「夫が尋ねてきたと言ってくれ」と現れた男性が居ると言われて驚くケイティ。
「僕たちの婚姻は成立しているんだ」と言われ、さらに驚愕。さあ、どうなる、どうする!?
現代が舞台で、内戦等の混乱の中にあり、便宜上結婚することで助かろうとする物語はこれが私にとっては2作目。多分読んでないだけで結構あるだろう。で、一度破綻し、またくっつく、という元サヤモノにもなっちゃったりする。
この物語では、グレアムが彼女を捜し出し、「本当の結婚だった」と告白して彼女を説得しようとする。ケイティも彼を愛していると気づいて歩み寄ろうとした所に謎の女登場(お約束)。嫉妬にかられて自分に振り向かせようと奮闘するケイティ。さあこれで丸く収まる、と思っていた矢先にグレアムが任務のために……という展開。
そもそものレエベルが「シルエット」だったためか、ホット過ぎることなく、そのテの描写はやや控えめ(アネット・ブロードリックは現在ほぼ「ディザイア」というホットなレエベルで活躍中)。でもミョーに盛り上がりを見せる辺りはやはり彼女の作風はソッチなんだな、と再認識。
面白いとか面白くないじゃなくて、私はひたすら何だかあっけにとられていた気がする。
最初からどちらも相手に好意を抱いているけれど素直になれない、というのはどの物語にだって共通してるとも言えるのに、不思議な違和感があって。
設定と物語の展開の仕方(唐突に前フリも特別無く、渦中からの脱出劇→逃避行中のつかず離れずなふたりの間柄→帰国後別れるものの再会→お互いがお互いを想っていることが明白→謎の女登場で逆に盛り上がるふたりの関係→ヒーローが危機的状況に陥ってヒロイン自分の気持ち再確認→ごーる!)がそれほど破綻せず(いや、御都合主義とかそれは今更なので言っちゃいけない)するする〜っと規定のペエジ内に収まってて、でも何か強く残るものがあるようなないような、というファジィさが同居していて、……何だろう、これ(はっはっは)。
ヒーローが強引ではあるけれど誠実で忍耐強く、ヒロインが凛としていて責任感があって行動派、という気持ちのいいカップルではある。それぞれに葛藤もあるもののする必要、ある?? みたいな所もあって引っかかりがない、ような。駄作ではないけれど、良作とも言い切れない、ちょっと煮え切らない何かを残してくれた。ツッコミどころが無いというのか。何だろうなあ。
待て。そこまであーだこーた考える程ものごっつ重要な作品ではないだろ、お前にとって。
う、うん。それもそっか(自己完結)。