やや地味な気が…。
愛の帰る場所
エリザベス・オーガスト 高瀬 まさ江
4596812144

オンライン書店ビーケーワン:愛の帰る場所
「記憶喪失」もの。これもHQではもう日常茶飯事かい! と言いたくなるくらいお約束の話型である。事故のせいで記憶を失ったヒロインの元に「僕は君の夫だ」と名乗る男が現れるけれど…とか、妊娠の喜びも束の間、何故か夫乃至恋人と会えなくなってしまって数年後、偶然出会った彼は自分を憶えていなかったが再び恋に落ちて…とか、そういうのがごろんごろんしてる。きっとアメリカとイギリスとオーストラリア辺りでは頻繁にあることなのよ、うん(えー)。
いや、まあ、脳ってのは面白いもので、記憶を捏造したりもする訳だから、あってもおかしくはない、と言えばおかしくはないんだけど。記憶喪失・一時的記憶障害てえのは。ってそんな真面目に語る程のことかい。

ヒロイン、すでに記憶を失っている所から物語は始まる(何とバイクでウィリィ走行をやらかそうとして失敗したのだ!)。自分の存在をやや疎ましく感じているように見受けられる母親、やたらと不機嫌そうではあるものの、自分を気遣ってはくれる夫だと言う男性。思い出せることはなく、不安にかられるばかりなのに、夫だという男性は自分を愛してくれているようには見えずさらに不安に。一緒に暮らしてみるものの、自分が彼を愛していたのか、彼が自分を愛していてくれたのかまったく何の確信も持てない。ただ、「今」の自分はどうやら彼に惹かれていることは解る。
話を聞く内に、どうも所謂「住む世界が異なる」ふたりが結婚したらしく、愛があったとは言い難いことが判ってくる。
記憶が取り戻せないままに互いに惹かれ求め合うけれど、……?

本来はまろやかな、というか、穏やかでやわらかい雰囲気のロマンスが好きなのだが、……これは何とも言えぬものが↓
所謂HOTな作品、ではない、です。さあこれから深い関係に踏み込むの!?(と言っても一応元々夫婦だけれど)というシーンくらいはあるにはあるけれど、ヒロインの記憶が戻ってない内にそういう関係を持ってしまうのはフェアではない、とひじょーに誠実な男性がヒーローなので寸止めで終わりだし、そういう意味では「好き」な筈なのだけれど、……何かこう、なー(「なー」言われてもね)。
とにかくヒロインの記憶が霧の中、のため、終始何ともモヤモヤした記憶を求めて苦悩している、という感じで、ロマンス要素が微妙に足りない。ロマンスとして読もうとすると物足りなさが残ってしまう。かといってそんなにミステリアスだったりとんでもない謎を秘めている、という訳でもなく。

記憶喪失モノは結構「そ、そりゃまたエライことで…」なことが封印されていたりすることが多いけれど、これは期待させた割にはそれほどでもなく、割合地に足のついた(?)「封印された記憶」だったので、やたらドラマティック、という訳でもないし(私がかつて読んだヤツなんて中世辺りに海に沈んだ宝物がうんたら、なんてのが絡んでたことあったよ…)。
でも、ある意味現実レヴェルとして受け容れやすくて、「ロイヤルものとか現実離れし過ぎてるのっていくらHQでも受け付けなーい」なひとなんかにはいいのかも。

じんんわりと、少しずつ両者が歩み寄っていく所は悪くなかったんだけど、如何せんヒロインの記憶探しみたいなものがるる〜〜っと続くために盛り上がりにやや欠ける。もう少しだけ華やかな要素が欲しかったなあ。
【2006/08/22 22:06 】 | ほん:HQ。 | コメント(0) | トラックバック(0)
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