今月のHQCM。6
ハーレクイン 2006年 10月号 [雑誌]
粒揃いです、ある意味。中くらいの出来かなー、と思ってしまう作品の、ですが。いつもならとうの昔に読んでる筈なのに、あまぞんさんがシステムの関係だか何だかで出荷するのを忘れてたそうで、ようやく届きやがりましてよ(怒)。
恋するシーク―砂漠の王子たち〈3〉
アレキサンドラ セラーズ Alexandra Sellers 柳 まゆこ 
コミカライズ担当:星合操(巻頭カラー/描き下ろし)
「砂漠の王子たち」初期3部作最後の物語。これ、原作通りのキャラ造詣なんだろうか……。今までこんなすっとこどっこいのシークなんて見たことねえや(笑)。やることなすこと威厳がなくてどーしたもんかと。
ヒロイン・ザーラは考古学専攻、現在東バラカット王国で発見されたアレクサンダー大王にまつわる遺跡の発掘調査で訪問及び滞在中。偶然プリンス・ラフィに出会ってしまい、どうもそれ以来好意を寄せられまくり。その一方的好意をマスコミに大々的に発表するものだから、ザーラの周辺は俄に騒然となる。遺跡の発掘どころではなくなり苛立つザーラ。
報道されたために顔も名前も知られ、しかもプリンスの意中の相手と喧伝されてしまった……ために、彼女は何者かに拉致されてしまう。さあ、どーすんだアホンダラ王子!!
……ホントに、何処までお前は自己中心的な馬鹿なのかと↓ 軽率過ぎて、これで一国の主になるヤツなのかよ! とツッコミ所多すぎで呆れるのがまず先。で、そののほほんおまぬけプリンスと翻弄されるザーラ、という物語に、突如暗雲が垂れ込めて、王位継承がどうのこうのと騒ぎ出すから何だかもう……。
いつものよーに畳みかけるようなラストで、はい、おしまい、と。王国を治める者たちの物語でもある割に、3部作ラストに至っても、ヒーローとヒロインの幸せを誇張して終わるのはやはりろまんすだからなのだろーか。まああまり政治色を濃くされても、それはそれで困惑してしまうかもしれないのだが。
……にしても、兄弟揃ってヨソモノ(=欧米の女性)を妻に迎える中東の小国の王子、てのは、なんぼフィクションでも凄すぎると思ってしまう。ちょっとあり得ないような気がしてならないのだが。それに、ヒロインがムスリムに改宗する、とかもまず聞いたことがないし。欧米(とキリスト教)至上主義的に見えるのはどうしようもないことなんだろう。
断れないプロポーズ
キャサリン スペンサー Catherine Spencer 苅谷 京子 
コミカライズ担当:篠崎佳久子(カラー有/描き下ろし)
これは篠崎さんがどう、という問題ではなく、元々の物語の筋のせいだと思うんだけど、ひたすら不愉快だった……。
入社したばかりのヒロイン・リーラと、社長のダンテは会って間もなく惹かれ合う。深い関係となってしまったものの悪びれる風もないダンテは結婚を切り出す。出会ったばかりなのに、と困惑するリーラ。
ダンテが出張に出かけてしまった後、リーラの身に降りかかるあれこれがふたりを引き裂こうとする。自分をモノにしようと迫ったのを拒んだためにイヤガラセをしてくる副社長、納得ずくで別れた元恋人が事故に遭い、見舞に行った所、彼が富豪の息子だったために恋人として報道されてしまうというハプニング、そして――妊娠。
帰国したダンテは新聞でリーラが富豪の息子の恋人と報道されたのを見てしまい、また副社長にあれこれ嘘を吹き込まれ信じてしまう。あるいは、リーラが信じられない。そこに現れ、弁解しようとしたリーラを、何と怒りの余りとは言え壁に突き飛ばすのだ!
もうこの時点でダメ。受け付けない。どういう理由があるにしろ、女に暴力ふるうつーのがダメだ。しかも、知らないとは言え彼女は妊娠している身。貧血を起こして立ち上がれない彼女を見て「今更誘惑しようったってそうは行くか」とかヌカす超弩級の馬鹿……↓ ヒロイン! 迷わずコイツの首、牛刀で叩き落としてやれ!!
何処までも何処までも何処までもヒロインを信じようとしない馬鹿に腹が立つばかりで、彼女がどんな思いでいるかまったく考えず、「僕は裏切られたー!」と自分だけが不幸みてえな態度が気に入らぬ!!
自分は彼女を信じていないクセに、彼女が彼に遠慮したり筋を通そうとすることにはプライドを傷つけられたと感じて一方的に何でもかんでも決めてしまい「これでいい契約が成立しただろーが!」とか突きつけちゃったり。ヒロインの元恋人がそんな状況で結婚するのは良くない、と彼女に避難場所を提供して、リーラは彼の元を去る(この別れた恋人、のが余程いい男だった↓)。
どうしてそこまで馬鹿なんだこの野郎は、としか思えなかった。最後も何となく納得がいかないし。煮え切らない野郎にイライラする。暴力はふるう(一度だけとは言え感情に流されて突き飛ばす、なんて許せん! しかも相手は女性なのに! 相手が野郎だって状況によっちゃどうにも不快だぞ)、言いなりにさせようとする、相手の気持ちは考えようともしない、真実を見ようとしない、……ヒロインはこの馬鹿の何処が良くて一緒になれるのか理解出来なかった。
ハーレムの花嫁
アン・ヘリス 沢田 純 
現在は文庫化されているので、こちらの方が入手しやすいかと。
ハーレムの花嫁
アン ヘリス Anne Herries 沢田 純
コミカライズ担当:中村地里(カラー有/描き下ろし)
ヒストリカル作品で前後編の全編。メアリィ女王台頭の頃のイングランドで、プロテスタント迫害から逃れるために国を後にしたヒロイン一家。嵐に合い、さらには海賊に出くわし、お約束通り(?)ヒロイン・エレナは攫われる。奴隷として売られそうになった所を「買い取」り、形としては彼女を救い出したのはスレイマンという男。だが彼も彼女を解放するつもりはなく、スルタンへの献上品にするのだとか何とかヌカして彼女をテメエのハーレムにぶち込んでしまう。要は美しさに心惹かれたのだ。
ただ傲慢なだけではなく、教養もあり優しい面もあるらしい彼に惹かれるエレナ。スレイマンもまた彼女の身体だけでなく心も欲しているのでは、と思い始めている。ハーレムをしきる女やそれに荷担しつつ私腹をも肥やすハーレムの監督者の男の横暴に腹を立てつつも、とりあえずはハーレムで過ごすしかないと思うことにしてエレナは時を過ごす。気づけばどうやら自分はスレイマンに恋をしてしまったのかもしれない。けれど、他の女性たちを彼を「共有」することは出来ない。これ以上一緒には居られない、と一緒に遠乗りに出かけた所で彼女は逃げ出してしまう。以下次号。
基本、キリスト教徒以外、つまりパガン(異端)は野蛮、というのがひしひしと伝わってきますなあ(ははは)。まあ確かに何の権利があって自分をハーレムに押し込んでおくんじゃ! とヒロインの立場なら思う所ではあるのだが。一応より悪い野郎からは救い出されたとは言え、結局自分のハーレムに押し込んでおいて、自分に従うのが筋じゃ! と押しつけてきただけだし(無理矢理抱こうとしないのが救い)。
それにしても、ラスト「私に心を許したフリして騙したのか!?」などとヌカすスレイマンに唖然(笑)。いや、別にアンタ、ちゃんと彼女に求婚した訳でもないし、彼女の気持ちちゃんと確かめてすらないし。「騙した」も何も、「スルタンへの貢ぎ物にお前を買うたんじゃ! おとなしく言うこと聞いとれ」が基本姿勢だっただろうが。自分の気持ちが彼女を求めてることを自覚しつつある時に逃げられてショックなんだろうが、「身代金要求して自分を解放してくれ」と懇願するエレナを「囲い女」にしたのはお前だっつの。
面白く読んだけれど、難点がいくつか。中村さん、キャリアがおありになるし、絵は綺麗だと思うけど、表情に乏しい気がする。というか、同じ顔になっちゃうんだな。誰描いても何度描いても。「美しいヒロイン」はいつも同じ顔。「驚いている顔」「唖然とした表情」「困惑した顔」とか、いつも同じ表情。もう決まった型が出来てしまってる。違うのは服装とヘア・スタイルだけ、という。あるとすれば「少しボーイッシュな顔」「穏やかでフェミニンな女性」とか、ある程度の類型が存在してる、というカンジ。
それと、緊迫した場面なのに「ああ〜」とか「〜」を使うのもちょっと。正直おマヌケな印象になってしまって萎える。「いやあ お父様〜っ」とか。コメディならいいんだけど。
秘書と結婚?
ジェシカ・スティール 愛甲 玲

コミカライズ担当:伊勢崎とわ
ボス秘書モノ。それにしてもこれも多いな、「会社社長がワケあって結婚せねばならず、手近に居る秘書に頼んで便宜結婚……したはいいけどお互い何だか本気になっちゃった。てへ☆」っての。
チェズニーは不仲な両親や姉たちの散々な結婚生活を教訓とし、仕事に生きると誓った有能な女性。その有能さと結婚に興味がない、という点を買われて(……どうでもいいが、物語とは言え結婚云々交際相手云々の質問を面接の場でするのはよろしくない、という風潮が定着しているようでしてないのだろうか、といつも思わせられる……)採用され、バリバリ仕事をこなす毎日。一見クールを装ってはいるものの、実は感情豊かであることを押し殺している。
ある日姉から紹介された男性はライバル社の社員。だが彼は好意から、彼女のボスである社長・ジョエルが周囲からも期待され、また本人もそれを望んでいる会長のポストに就任する可能性が危うくなっていることを教えてくれる。有能さは確かなジョエルこそが会長になるのが相応しい。そう思ったチェズニーはジョエルにそのことを告げる。
日頃からつきまとうアーリーンを疎ましく思いつつも無碍に出来ないのは、彼女もまた会長職選挙の投票権を持っているからであろうと察し、彼がどう対処するのかと半ば楽しんでそれを見ていると、ジョエルがいきなり言うのだ。
「僕には一生一緒に歩みたい女性が居るんだ! そうだったねダーリン」とチェズニーを抱き寄せる。ここに晴れて便宜上結婚せざるを得なくなってしまったカップルが誕生したのであった……。
思っていたより楽しめた。伊勢崎さんはこれで二度目のHQ本誌登場だけれど、前回よりもより読みやすかったし、もしかして定着していくのであろーか。
まあベタな展開ではありましたが、そこはそれHQ。仕事が絡むためになかなか彼女を信用出来ずにいる(というよりも本当は単なる嫉妬)ジョエルがまあまあ可愛いと思えなくもない。傲慢というよりは強引なやり手、くらいだったし。後編を待つ必要がなかったのと、まとまりが良かったのとで、今号ではこの作品がいちばん読みやすかったかも。どうでもいいが、アメリカの大都市でバリバリ働くきゃりあ・うーまんつーのはああいうふぁっそんで仕事してるんだろうか……(本誌、どうぞ。コトバでは説明し難いので)。
来月はキツイ。小林博美さん、後編アリの中村地里さんはいいとして、岡○慶子さんにア○スンさんとやらが登場する。こわいよー、岡○さんの予告カットの野郎、お面つけてるみたいだよー、デッサンが狂いまくってるよー!! ア○スンさんとやらはどうもヤリたい盛りの中学生辺りが読みそうなえろまんが雑誌に描いているひとらしいと判ったので、正直HQには来てほしくない……(そう思うのは私だけではない模様。レディコミ系で描いてる作家さんには拒否反応示す読者は結構居る。それでも、HQらしさを大切にしてくれてたりする作風になっていれば何とも思わないのだけれど、一度とんでもなくヒドイのがあって、「これは『HQって所詮女用のポ○ノだろ?』」という憎まれ口を「ええ、そうですが?」と軽やかに受け容れそうな描き方で辟易してしまったことがある。しかもそのひと何回も別冊に登場するし↓ 今回初登場のその方、よりによってデビー・マッコーマー作品をコミカライズだとう!?(デビーはハート・ウォーミングな作風がウリ)出版社よ、そんなに執筆者に困窮しとるのか!! もっと描ける作家さん居るだろうがー!!(よく見たら半子飼いの作家だったぜ……↓↓↓ そうか、そういうツテかよ……)
えろ描くのはいいのだ。プライド持ってしっかり描いてくれ(それが子供読むのかと思うとウンザリだが。えろ入れないとウケないもんなの? 今そんなにオチてきてんのか、まんがって)。別にHQ好きでもないのに描いてほしいとは思わないんだよー……(無論、皆が皆「好き!」という気持ちで描いておられるワケでもないと思うけどね)。来月は多分ものすごーく冷めた気持ちで刊行を待つと思う……。


ほん:HQ。 コメント(0) トラックバック(0)