素朴にして極上のケエキのように。
カトゥル・カール
三原 ミツカズ
4396762178

「ハッピー・ファミリー」番外編である「カトゥル・カール」。しかしこれ単体でも十分楽しめる。……いずれ買うつもりではあったけれど、送料調整だとか何だとかでもっと後に買う筈が何だかうっかり今買ってしまった↓ いや、絶対買う、と決めていた作品だし、いつ絶版にされるか判ったものではないからいいんだけど。うう、しかし経済上の計画性というものがっ。

もとい。やっぱり面白かった。岡内はオトコマエだVv ごっつい真っ当で真っ直ぐで格好良くて、……ちょっと可愛い。

その前に。一応知らない方のために。「ハッピー・ファミリー」とは。
ハッピー・ファミリー
三原 ミツカズ

ハッピー・ファミリー
ハッピー・ファミリー (2) ハッピー・ファミリー (3) ハッピー・ファミリー (エクストラ) HAUNTED HOUSE

通常版では全3冊+エクストラ1冊から成る計4冊に渡って綴られた物語。父・うづし夫、母・まゆら、息子・なるとの3人家族は幸せ家族……の筈だけど、父と息子は何とライバル同士。何故なら息子・なるとにとって最愛の女は実の母のまゆらだけだから――と描くとまるでドロドロ近親相姦モノみたいだけれど、そういう訳でもない。可愛らしさと軽妙さと、少しの重さとで成り立つ「家族」の物語。「エクストラ」にてうずし夫とまゆらのなれそめが描かれている。本来は、岡内こそが最初にまゆらに惹かれ、まゆらもその優しさに気づいていたけれど、最終的にまゆらが惹かれ、まゆらを好きになったが為に両想いになったのはうづし夫とまゆら。それでも岡内はひたすらまゆらだけを想い続けている。「ハピファミ」当時から岡内は菓子職人を目指しており、当時はまだ修行中の身。
ヒロイン・まゆらが「イイコちゃん過ぎてイヤ」という意見も見られるが、個人的には大好きだ。可愛くて心が強いとこが。
現在は文庫化(上下巻・2冊)もされてます。
ハッピー・ファミリー (上)ハッピー・ファミリー (下)


岡内は若干28歳にしてケエキ屋の店長にして一流パティシエ。腕も味覚も確かで、一見取っ付きにくそうに見えるものの従業員や客に対して思いやりを持って接している。
そのケーキ・ショップ「カトゥル・カール」での日常、起きる小さな出来事あれこれを綴った佳作。本編よりこっちが好き、というファンも少なくないらしい。

岡内のような職人になる夢を持つことが出来た元いじめられっ子の都倉青年、「人妻に横恋慕してる」岡内をそれでもひたすら好きな紅一点のウェイトレス・ともえ、キャラクタアもそれぞれいい味出していて、読んでいてふんわりと、でも甘すぎない心地よさに浸ることが出来る。
それぞれがそれぞれに持つ物語――人生のかけらを覗かせつつ、特にこれといって特別な山や谷があるでもないけれど、気分がすっきりする。
岡内の職人としての自負や、それをまた持ってこそ一流になれるのだと教える(その「条件」もまたタイトル「カトゥル・カール」にかけてある)様子、どんな客も分け隔て無く大切に扱い、従業員が客を悪く言おうものなら「客は神だと思え! 俺なら自分より下の人間に自慢のケエキを食わすなんざまっぴら」と言い切る姿勢。
んもー、何処から何処までもオットコマエなのであった。職人としても男としてもイケてる。岡内サイコーVv(でもまゆらはうずし夫を選ぶのね…。そしてそのまゆらを岡内はずっと愛し続けるのねー……)

カトゥル・カールは洋菓子好きなら誰もが知っている、とても基本的かつシンプルなケエキである。卵・粉・砂糖・バタの4つ(カトゥル)を4分の1(カール)ずつ加えてつくる。
多分、岡内や、その他誇り高きパティシエたちは、それらの材料にそれぞれの愛情や情熱を加えて、自分だけの「カトゥル・カール」をつくるのだろう。だからそれぞれに美味なのだ。

単純に、衒い無く、美味であること。それは実は本当はちょっとムズカシイのではないかと、思ってみたり。で、これはそういうオハナシ。
【2006/08/27 21:39 】 | ほん:まんが。 | コメント(0) | トラックバック(0)
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